【ブログ新規追加426回】
オリンピック5日目、アスリートの誰もが、喉から手が出るほど欲してやまない金メダルを早くも掴んだ選手がいる。
一方で、なぜだか、不安が的中した・・・という金メダル候補、まさかの予選落ち。
それぞれの戦いが明暗を分け始めたオリンピックの晴れ舞台。
TVで観戦する側もハラハラドキドキしつつも、アスリートたちがコロナ禍の中どんな思いで戦ってきたのであろうかと、心中を察するあまり「すべての選手が全力を出し切って戦える」ようにと、願ってやまない。
そんなスポーツ一色の中、ずいぶん前に図書館で予約をしておいたノンフィクション作家でありスポーツライターである沢木耕太郎氏の著書『敗れざる者たち』が届いた。
さっそく、オリンピック中継を観ながら読み始めた。
『敗れざる者たち』沢木耕太郎・著(文春文庫)
もくじ
1、クレイになれなかった男たち
2、三人の三塁手
3、長距離ランナーの遺書
4、イシノヒカル、おまえは走った
5、さらば宝石
6、ドランカー(酔いどれ)
★
読後レビューする。
『敗れざる者たち』見事なまでに名著である。
実在の人や動物(馬)による実話を、著者 沢木耕太郎氏の手にかけると、まるで魔法がかかったみたいに、活き活きとした作品に仕上がるのだ。
それぞれのアスリートたちの戦い切った後の姿が爽やかなこと、この上ない。また、著者自身がその気持ちに浸り切った文章に圧倒されもする。
ここでは確かに、ボクシング、野球、競馬、マラソンで華麗にチャンピオンとなり一流と呼ばれ頂点に立つことが「叶わなかった」アスリートたちの、「報われない」競技人生がこれでもか!と描かれている。
しかし、敗者の気持ちに浸り切った著者、沢木耕太郎氏の描くアスリートには微塵たりとも暗い影はない。
あるのは、無冠の帝王とも言える「終わった者たち」の清涼感だけだ。
これは、いったいどういうことなのであろうか?しばし、本を置いて考えてみた。
そして、かすかだが答えを導き出せた。
それは、沢木耕太郎氏の描くアスリートは、その人本来の持つ人生を「生き切る」ことに「夢中」だったのだ。
著者は「夢中」さをコアに戦いを描き切った。
そこには感動秘話や涙も汗もすべてを飲み込んで戦ったアスリートの昇華した姿があっただけだ。
「夢中」はすべてに通じる魔法なのかもしれない。
★
今朝、近所のヒマワリ畑に撮影に行った。
まだ7月だというのに、すでに花びらを枯らしたヒマワリも多く驚いた。
しかし、その横には、すくすくと太陽を浴びて伸びる真新しいヒマワリたちの姿もあった。
花の世界も戦いのまっただ中。
まさに「光と影」だ。
「インパルス 地球ドローンで 夏五輪」 清流
江戸の空に藺草の匂い漂うような開会式でした。賛否両論あれど精一杯のおもてなしに感謝。SDGsさながらの環境に配慮した木造主体施設群は、五輪遺産として長く使われてほしい。