『人生はどこでもドア リヨンの14日間』稲垣えみ子・著(東洋経済新報社)【選書・文化/旧記事更新44】

【ブログ新規追加1166回】

『人生はどこでもドア: リヨンの14日間』稲垣えみ子・著(東洋経済新報社)

簡単レビュー

「魂の退社」「寂しい生活」に続く書き下ろし。

退職し、夫なし(子どもなし)の53歳。

今回の内容は、あえてなんの準備もせずに、もちろんフランス語なんてできない状態で、フランスのリヨンに行って14日間滞在したという旅行記である。


旅の目的は、「現地でしっかりした、日本と変わらぬ生活をすること」。それはすなわち「周りの人としっかりコミュニケーションをとってつながること」

日本語が通じない異国の地だと、その人の「在り方」というのがむき出しになり、より本質的な人との関わり方の姿勢が問われることになる。

稲垣氏は、その試行錯誤の中で「人とつながることの幸せの形」を見出している。

その様子が、稲垣氏独自の軽快な文章で表現されていて、笑わせてくれたり、ホロっとさせてくれたり……と、とどんどん引き込まれていくうちに、最後は感動させてくれるものとなっている。

また、エアビー(民泊サイト)の利用法を始め、ホストとのつきあい方や、フランスのネット事情、マルシェ(市場)の様子、買い物の仕方、カフェの様子など、海外の民泊を利用しようとする人や、フランス旅行をする人に参考になる情報も満載となっている。

               ★★★

まさに、捧腹絶倒な一冊だ。あまりにも面白過ぎる。

他人の海外滞在記。

これほど興味を掻き立てられて読んでしまう本には滅多に、お目にかかれないだろうな。

しかも、人生の夢(海外で暮らす)を果たすために奔走する著者の必死さ(どこか可笑しさも)にも共感の嵐だったわ。

初の海外2週間暮らしでやったミッションがまたいい。

東京での暮らしをそのまま、リヨンへ移しただけだというんだから、鼻っから観光だ!グルメだ!などまったくもって考えてもいない。

わたしは、発想の勝利!あっぱれ!だと感動した。

その地味な一日とはこんな。

日の出とともに起きる

ヨガ

掃除、洗濯、昼食の下ごしらえ

近所のカフェでモーニングを食べながら午前の仕事(原稿書き)

家に帰って昼食

別のカフェで午後の仕事(原稿書き)

買い物

家に帰って夕食

縫物・読書

風呂(銭湯)

寝る・・・。

とまあ、超シンプルな生活。ちょっと地味すぎやしないだろうか?

はるばるリヨンまで来て連日自炊とか。グルメ大国おフランスでねえ(笑)

でもね、死ぬほど美味しい美食も3日も続けていたら、グェッっとなるはず。

稲垣氏が片言のフランス語でやっとこさ、手に入れたポロ葱やら、青野菜を使った味噌スープやサラダ(おしゃれな写真あり)、焼きたてパンとバター(ブールという)はさぞかし、美味なご馳走だったのはいわずもがなだ。

また、旅のアレコレ(空港でのトラブルや現地の宿泊事情、マルシェの云々、持ち込んだ日本の食材等)本当の話のオンパレードだから、コロナで海外旅が遠のいていた人にはいい刺激にもなるだろう。

というわけで、久々に「面白い旅の本」を紹介した。

(せっかく読むんだったら、文章の面白さを味わえる本をお勧めしたいと常々考えている)

それでは、また!

———————————————————————————————————————————旧記事更新44

『Life Tour 21st』2016年3月15日記事

http://lifetour.blog.jp/archives/1053889932.html『自分らしさとは?

『みいこStyle』2020年3月15日記事

http://miikostyle.blog.jp/archives/16823228.html『情報を「捨てる&選ぶ」センス持ってる?』


『SunTAMA Style』2021年3月15日記事

『SunTAMA Style』2022年3月15日記事

“『人生はどこでもドア リヨンの14日間』稲垣えみ子・著(東洋経済新報社)【選書・文化/旧記事更新44】” への2件の返信

  1. 「昼すでに 冷感抜けて 水ぬくし」 清流子
    もうしばらく朝晩は冷えますが、昼間の日差しはすでに春。水も幾分か温かく感じます。故郷の広島では暖かい事を ”ぬくい” と言いますが、気温や水温だけでなく人の心使いにも用い、何となくほっこりとする状態は場を和ませる力がありますね。やっぱりマイライフスタイルは大事かな。

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