『山女日記』湊 かなえ・著(幻冬舎)【選書・文化/旧記事更新161】

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山女日記』湊かなえ・著(幻冬舎)

簡単レビュー

このまま結婚していいのだろうかーー

その答えを出すため、「妙高山」で初めての登山をする百貨店勤めの律子。一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。

由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。

医者の妻である姉から「利尻山」に誘われた希美。

翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えない。

「トンガリロ」トレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。

前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか……。

真面目に、正直に、懸命に生きてきた。私の人生はこんなはずではなかったのに……。と、3人の女性たちのため息がもれる。

誰にも言えない「思い」を抱え、一歩一歩、山を登る女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。

女性の心理を丁寧に描き込み、共感と感動を呼ぶ連作長篇。

               ★★★

仕事に忙殺される10月.

本当に久しぶりに時間をこじ開けて「小説」を読んだ。

色々詰まってしまい、あんなに楽しみにしていた紅葉ハイキングも間に合いそうもないし(泣)

最高に天気のよい季節の山旅。それでも安全を期して、いつでもお天気のジャストタイミングを計ってきた。そして、体調も整えてと。

それ以外に山行に求めるものはない。

ま、わたしとしては「山女日記」の女性たちのように、自分の人生をかけた山行ではない。あくまでもレジャーのひとつだ。

純粋に新緑や紅葉を楽しみたい。現地の美味しい食事や温泉を堪能したいし絶景を撮影したいぐらいかな。

『山女日記』では、それぞれの悩み・課題にどう向き合うか?の答えを求めて山登りに勤しむ女性像があり、それはそれで、印象的でもあった。

例えば、アウトドアセールで素敵な登山靴に出会い、山など行った経験もないのに登山靴を買ってしまう話とか。

それが機縁となって、悶々としていた問題にどう向き合おうか?考えるために山に行くようになっていく・・・。

しかし、小説とはいえ、複数の女性・要するに他人の人生模様を読むのがしんどくなってきた。(ちょっとだけ面倒くさくも・笑)

たんに楽しみたいだけのレジャー山行で充分だわ。

著者の湊かなえさんは、作品を一つ仕上げる度にソロで山行に出ていたそうだから、「自分の生きざま=山」になったのだと確信した。

女の人生も山あり谷ありだもんね。山と女性の人生を掛け合わせた名作かも(笑)

というわけで、久々の小説にちょっと疲れてしまったことを書いてみた。

本作品はとっても読みやすく、わかりやすい表現で描かれていて、「そうそう!」とか共感を生む素晴らしさよ!

秋の夜長にピッタリな一冊。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年10月7日記事

『SunTAMA Style』2021年10月7日記事

『SunTAMA Style』2022年10月7日記事

『Life Tour 21st』2015年10月7日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1068136176.htmlSNSサスペンスを考える

『みいこStyle』2019年10月7日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/21398733.html 「言葉を使って人の心を動かすスキルとは?」

“『山女日記』湊 かなえ・著(幻冬舎)【選書・文化/旧記事更新161】” への2件の返信

  1. 「人生は 人との絆 秋うらら」 清流子
    今の世の厳しさ酷さから冬を意識せざる負えない場面は多々あるが、それを忘れさせてくれる暖かさが誠実な交流の中にはある。人生充実感を得るには良好な人間関係を作るのが一番。励ましという行動は生きていくための肥やしとも言える。大事なオアシスではないか。

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