【ブログ新規追加279回】
今度の休みは何読もう?
もう、ずっと何十年もこの問いを無数に続けてきた。
で、この飛び石の休みに選んだ本はこれ。村上春樹「雑文集」これは、手に入れてから、すぐに全部読んではいない。
もぅ4年ほど寝かしながら、幕の内弁当みたいな、美味しい短編や息づかいを感じるインタビュー全文をちびちびとウイスキーを舐めるように読んでいた。
どうして、いつものように全部読破しないのか?
それは、村上氏の紡ぎ出す「雑文」の質があまりに高く深いから。簡単に読んじゃったらもったいないもの。
それで、ちびちび・・・という行為になったというわけだ。
中でも、興味を引くのが、「おいしい牡蠣フライの食べ方」と、「壁と卵~エルサレム賞受賞挨拶全文」この2つだ。
村上春樹を知るなら、ぜひ、この2点の視点を知ると、ぐんっと理解度が深まるはず。
村上氏の紡ぎ出す文章の云々、いわゆる二重構造の話は、もう世間的にもだいぶ浸透してきたし、あえて、そういった文体のスキルを語るより、どうやったら美味しい牡蠣フライを頂けるのか?を淡々と語る文章が極めて素晴らしい!と、つい、思っちゃうんだ。
雑文集は400ページ以上にもなる大変分厚い書籍だ。しかし、その分厚さを軽減させるペイパーバックのスタイルが読み手を安心させる。
だが、本題に入ると、小さな文字がびっしり・・・。実はこれがちびちびの原因なのだ(泣笑)
もうね、歳には敵わない。目が、目がついていけないの。
さて、せかっくの休日。明るい陽射しの指す窓辺で、この小さな文字と格闘しよう。そうして、夕方には、満足感たっぷりでつまみなしのハイボールを一杯飲むんだ。
最後に村上氏の言葉を引用する。
「新しい言葉なんてどこにもありはしない。ごく当たり前の普通の言葉に、新しい意味や、特別な響きを賦与するのが我々の仕事なんだ。」 「(小説家は楽観的であると前置きして)
希望や喜びを持たない語り手が、我々を囲む厳しい寒さや飢えに対して、恐怖や絶望に対して、たき火の前でどうやって説得力を持ちうるだろう?」
うん、かっこええ。
「春の樹や 海辺のカフカ 積読か」 清流
カフカと言えば実存主義的な「変身」を思い出すが、春樹のカフカはなにか空虚感が漂う。正体不明の「サムシング」が多すぎてそう感じるのかも知れない。
カフカまだ未読( ´艸`)