各界の著名な方々がこぞっておすすめする新書。やっと手に入れたので、さっそくレビューする。物書きならいつも傍においておきたい、執筆マインドを激上げする一書。読まないでは済まない。
「いますぐ書け、の文章法」堀井憲一郎(ちくま新書)
はじめに
著者、驚きの発言からはじまるキレのいい一冊です。それは、「文章を書くことはサービス業である」と。物書きが醸し出す高尚さと一線を画す挑戦的な文言。また「相手の立場に立って文章を書く・誰に向かって書いているのかを明確に」と、続けます。
ライターや文筆家に、知ってほしい執筆マインド満載の一書。今回はすべての章でのポイントを簡潔にお伝えして行きます。
- 1章 プロとアマの決定的な差
- 2章 文章は人を変えるために書け
- 3章 客観的に書かれた文章は使えない
- 4章 直感のみが文章をおもしろくする
- 5章 文章は言い切らないといけない
- 6章 文章で自己表現はできない
- 7章 事前に考えたことしか書かれていない文章は失敗である
- 8章 文章を書くのは頭ではなく肉体の作業だ
- 9章 踊りながら書け
では、各章のポイントを説明して行きましょう。
1章 プロとアマの決定的な差
※ ポイント ● 読む人の立場で書け
著者のオリジナルティが初めから爆発する章です。文章書きはサービス業であるから、何処まで行っても、自分の書いた文章で、読み手を喜ばせることができるか?という観点だけあれば、いい書き手になれるのだと言い切っています。
しいて言えば、テクニック面では、漢字を少なく、すぐ改行をしよう!と言われています。美しい日本語とかは一切、気にしないように。
文章を書き続ける秘訣があるとすれば、読書を膨大にすることだと。嫌というほど活字に触れる毎日が当たり前の世界なのです。
2章 文章は人を変えるために書け
※ ポイント ● 人の意識は一瞬で変わる
文章書きはサービス業であるから、読者の視点を常日頃から、考え続けていなくてはなりません。その上で書き手は、自分の意見などは書いてはならないと。読む人を変えられるのであれば、独自の考えを捨てる覚悟が必要なのです。
とにかく、書き手の精進には、読書の深読みが必要です。それも、自分が読み手となって、書き手の息づかいまで感じる感覚を持てれば、書き手の文章で追体験ができます。こ唸れるように想像力や妄想力を鍛えることが重要です。
3章 客観的に書かれた文章は使えない
※ ポイント ● 冷静と情熱のあいだ
あなたが、書き手だった場合、テーマが自由だとしたらどうでしょう。ほとんどの人は、いったい何を書いていのかわからなくなるそうです。そこで、テーマ出しにつまづいてしまうと、たいがいは、公的な話題や問題に手を出してしまうとも言われています。著者は、そういった公的な文章は、まず、面白くはなく誰も読まない読者不在の文章だとバッサリ。
そして、エッセイなども、公的なことがらを避けて、手の平に乗るような小さな話を、持てる言葉で全力で書けばいいのです。人は他人の意見など聞きたくない。聞きたいのは他人のお話だと言われました。
そして、文章は執筆中にたいそう熱量を帯びるものなで、一晩は寝かせるのが妥当でしょう。最後まで、読み手ファーストでありたいものです。
4章 直感のみが文章をおもしろくする
※ ポイント ● 何だかヘンだなと、思ったらストックしよう。それは間違いなくネタだから
取材原稿を起こすプロセスは、テーマ決め→内容の調査(仮設)→現場取材→原稿起こし と、このような流れになっています。ここでも凡人は、現地へ行っておもしろいものを見つければいいと考えます。
しかし、このような考え方だと、絶対に想定内の出来ごとにしか巡り合えません。事前に仮設を立てて、仮設を元に調査をし、そこから現場取材をすると必ずといっていいほど、何かヘンに出会える確立が高いのだそうです。
著者の言葉 結果を予想せず調査取材したら死ぬ 覚えておこう
5章 文章は言い切らないといけない
※ ポイント ● 文章は強く書く
今や、インターネット全盛。ネットに投稿される文章の数々には、みんなどこか炎上を気遣うやんわりとした言葉選びがまん延しています。
こんなことを書いてもいいだろうか・不安になるから曖昧な表現になってしまうのですが、著者はあえて言うなら、強い言葉で書くことを勧めているのです。
なぜなら、曖昧な表現ほど、読者の期待を裏切る行為だから。誰の目からみても大丈夫な文章は、結局面白みに欠けて、誰も読まないということになってしまいます。
せっかく、一生懸命に書いた記事が、誰の目にも止まらないのは悲しいものです。勇気を出してきっぱりと書いて行きましょう。
文章を書くという行為は、覚悟と煩悶のくり返しです。
6章 文章で自己表現はできない
※ ポイント ● 文章の精度を上げるなら、使う言葉を選ぶしかない
文章の質の上げ方は決まっていて、沢山速く書けることは当い然として、バッサリと文章を削ることで、すっきりとした良い文章に生まれ変わるのです。
しかも、使う言葉は、どこかの引用なぢではなく、書き手自身の手持ちの言葉でなくてはいけません。文章の質を上げるには、相応の文章を足すのではなく減らすのです。しかも、自分の言葉で書き切りましょう。
ここで、プロとアマの決定的な違いをチェックします。アマチュアは何かしら賢く見えそうな言葉やフレーズを引用してしまうものです。一方のプロは、だいたいが手持ちの言葉で勝負するのです。気の利いた一言も、経験値と膨大な読書量から自然と、紬だされるのです。
つまり、アマチュアは自分の体裁を気にし、プロは読者への伝達力を気にするワケです。日頃使い馴れた文章だけでプロは勝負するのです。今、持っている物だけで戦うかっこよさですね!
また、こうも言われています。辞書はインプットの時に使うもの。アウトプットでは、自前の言葉で書こう!
7章 事前に考えたことしか書かれていない文章は失敗である
※ ポイント ● 書き始めて、新しいアイデアが湧いたらそれも取り込もう
書き手なら誰もが経験していることですが、文章は暴走します。まるで生き物みたいに、どんどん勝手に内容が展開してしまう性質があるのです。
そんな暴走文章の持つ熱量はハンパないので、どんどん、新しい文章やシチュエーションが浮かんだら、恐れずに取り込んでみましょう。絶対にそのほうがおもしろいはず。
また、暴走文章を一晩寝かして読み直すと、自分が書いたとは思えないおもしろさがあるものです。読者をよろこばす文章というのはそういうものなのです。書き手の醍醐味でもありますね。
8章 文章を書くのは頭ではなく肉体の作業だ
※ ポイント ● 文章を書くには体力が必須
ライターズ・ハイという症状をご存知でしょうか。文章を書きまくっている時に起こるアドレナリン分泌過多で、一種の陶酔状態のことです。
この状態は、すでに能の限界を越えてしまっています。想定内の文章だったら、難なく書き進めていけますが、到達点が不明になるほど、自走してしまった文章には、潔く一旦、お休みをいれてください。
この状態は、すでに能の限界を越えてしまっています。想定内の文章だったら、難なく書き進めていけますが、到達点が不明になるほど、自走してしまった文章には、潔く一旦、お休みをいれてください。
9章 踊りながら書け
※ ポイント ● 追い詰められても、最後は何とかなる
プロでもアマでも原稿の締め切りを抱えていれば、結構追い詰められているような気分になるものです。しかし、精神を病むような追い詰められ方になってはいけません。
実際追い詰られているのは時間です。そこで、乗り切れる呪文をお教えしましょう。それは、「絶対なんとかなる!」です。こう唱えながら、ひたすら書き続けてください。あなたの原稿を待つ先方も、この呪文を唱え、ひたすら待ってるのですから。
最後には「何とかしてくれる人」になって、踊り、書き手冥利を味わいましょう!
● いますぐ書け、の文章法 まとめ
まとめ
著者の言われる、おもしろい文章の書き方とは、
● 読み手の立場で書かれていること
● 意見ではなく、ストーリーを語ること
● 想定外な展開を書き切れること
● 強い断定的な言葉で書かれていること
以上です。
また、想像力を鍛えるために、女性を書く時には「おっぱい」を連想するといいのだそうでっす。また、本当に読みやすい良い文章は「私は~思う」このくだりをすべて抜いて書けば良いのだともお教え下さいました。
ライターや文筆業の人は、仕事のお供にぜひ、そばに置いて執筆されることを望みます。
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