【ブログ新規追加1115回】
「毎日エネルギーを費やせる仕事があるのは、ハッピーなこと」と、某有名デザイナー御歳80歳)の言葉を最近ある記事で読んだ。
有名デザイナーは、デビューした19歳から年2回、ずっと休まずにコレクションを発表しているという。
「一度も仕事のペースを落とそうと考えたことはありません。それが私の使命ですから」と断言し、今もなお情熱を燃やし続けているそう。
その原動力はいったい、どこからくるのか。
ファッションという華やかに見える舞台裏で、日々真剣に仕事と向き合うデザイナーのメッセージに、その答えが集約されているような気がした。
「イメージを組み立てるために、ずっと続けている方法があります。まずは常にアンテナを張り巡らし、自由にものごとを見る。ピンとくるものを軸に、お客さまの写真、好きなポストカード、孫の書いた絵、リボンやレースなどをアトリエの壁にピンナップしていきます。
その壁を眺めながら、幾通りもの組み合わせを思案して、イメージを練り上げます。そして自分にできる方法と照らし合わせ、そのイメージを形に表現していきます。という一見オーソドックスな仕事術をお持ちだ。
その地味な作業を60年以上繰り返してきたとも。
ご本人いわく、「コツコツとやり抜くしか道はないのよね。喜びはほんの少しかもしれない。けれど毎日エネルギーを費やせる仕事があることがすごくハッピーなの!」と、締めくくる。
確かに、喜びはほんの少しかもしれない。
ああ、有名デザイナーさんだってそうなんだ……! と共感しながらも、その少しの喜びに到達するために毎日があるのだなと、襟を正す思いで受け止めた。
これは、コツコツ仕事を積み上げること自体が「最高の自己投資」になった素晴らしい例だろう。
しかし、この記事を読んで、若干の物足りなさを覚えた。
だって、19歳のスタートから、80代の今もおんなじスタイルで仕事を続けているというのが超違和感。
昨今、良く知られた「一生バリバリと働き続けるスタイルから一転、人生の暮らしや仕事を「四半期に振り分けて考える」という緩やかな人生設計を唱える」というスタイルが大ヒットしているにも関わらず。
だから、今の時流から外れているんでは?と、思わざるを得なかった。
例えば、同じ仕事を61年もの間、やり続得るには相当のご苦労があったはず。
苦労話のひとつも書かれておらず機微に欠けている。そこが記事全体を残念にしているのかもしれない。
ま、人生の機微を上手に文章化するには、人生の捉え方がどうなのか?そのあたりから高齢の有名デザイナーの歴史を紐解いてほしかった。
※ ここで、成人してからの人生をざっくりと4つに分ける、「新・四住期」という考え方を紹介しよう。
• 第1期 30歳~45歳(狩猟期)→仕事人生の第1ピーク期。山に例えれば「一人前山脈」かな?仕事の現場でも周囲でも最も期待され、公私共々に盛り盛り状態。
• 第2期 45歳~60歳(ダブルスタンダード期)
• 第3期 60歳~76歳(円熟期)→次への人生を描いた通りに実現できるか?子育て、教育、介護、など家族を取り巻くイベントの終焉を迎えて、いよいよ「自由」に人生を謳歌できるゴールデンタイム期。第2のピーク期。
• 第4期 76歳~年齢(ゼロ出力期)
となる。人生を「新・四住期」と唱えたのは、大学教授の斎藤孝氏だ。
人生の「新・四住期」を唱える名書籍はこちら!「最強の人生時間術」斎藤 孝・著(祥伝社新書)
どう?
己の人生を年齢と時間でくくり、どう成長してきたのか?どう下っているのか?などが一目瞭然でしょ?
とてもいい書籍なのでぜひ、手に取ってみて!
★
デザイナーさんの記事は置いといて、わたしの仕事話も少々。
営業マンの宿命ともいうべき、若い上司の部下と営業先の取り合いになったり、身内から苦い水を食らう場面もある。
そんな時によく思うのは「もう、仕事は十分やってきたんだ」という自負だ。
誰よりもたくさん結果が欲しい!とか、誰よりも稼ぎたい!とか、もう、いいんじゃない?
人生の第3期に入ったわたしはそう思うのよ
毎日のタスクをこなすだけで精一杯。仕事に慣れたら慣れたで、右から左への流れ作業になりがちな倦怠期も越えた今、思うことは「これまで通りではなく、これからはゆるやかに仕事を楽しむ」なんだ。
それこそ若い上司などは、見えないところで「ガツガツしてるんだろうな」とか感じるけれど、もう、わたし自体は「人と会える仕事があるだけでハッピーな気分になれる」んだもの。
だから、ごくたま~に気持ちがしおれているなあ・・・って、感じたらあえて苦手な客先へアポイントを取り、人にもまれるようにしている。
そして、少しの「笑顔」をもらえたり「今後に繋がる」商談ができたら最高じゃん!
勤続17年という、長いキャリアで知りすぎたことはいっぱいあるよ。それがかえって邪魔になる時もあるし。
しかし、豊富な知識や経験が足かせにならないように、日々精進するのが今のわたしの仕事観。
「ちょっと仕事がマンネリ気味だったら新しいことに挑戦するのもそのひとつ。
★
そうそう、冒頭の素晴らしい高齢デザイナーさんは「鳥居ユキさん」
彼女を取材した記者は、彼女の仕事観を「とにかくかっこいい!」と、ほめちぎっていたけれど、よ~く文章を読んでみると、行間からにじみ出る苦労のかけらが散らばっていた。
人の記事を最後までじっくり読んで書いたみた。
それでは、また!