『本当の登山の話をしよう』服部 文祥・著(株式会社 デコ)【選書・文化】

【ブログ新規追加1563回】

『本当の登山の話をしよう』服部 文祥・著(株式会社 デコ)

簡単レビュー

人はなぜ山に登るのか――著者30年にわたる「登山批評」の集大成。
第Ⅰ部は、デビュー作『サバイバル登山家』以前に書かれた、著者の原点ともいうべき隠れた名篇のほか、若き日に憧れた和田城志へのインタビュー、山で書いた「遺書」についての回想記を収める。
第Ⅱ部は、山野井泰史、星野道夫、フリチョフ・ナンセン、デルスー・ウザーラ、ウォルター・ウェストンら、著者が敬愛する人物たちを通して登山とは何かに迫る。また、クマとのつきあい方、世界と日本の最高所の意義について私論を展開する。
第Ⅲ部は、廃山村での自給自足のほか、狩猟のパートナー・ナツ(犬)の失踪騒動、もうひとつのライフワーク・中距離走の喜びなど、近年の暮らしのあれこれを語る。最後に、登山よりも先に志したという文章表現について論じる。

              ー--

〈なぜ山に登るのかという質問を、山に登らない多くの人が、山に登る人に投げかける。
わかりやすく答えるのは難しい。質問に含まれる「なぜ」の裏には、「辛くて、大変で、無償なうえに、もしかしたら死ぬかもしれないのに、なぜ」という思いが隠されているからだ。「死ぬかもしれないのになぜ」とまっすぐ聞いてくれるなら、風景やストレス発散が、登山の理由にならないことは明白だ。景色を見るために死ぬ思いをする人はあまりいない。
山に登る理由はただ一つ、自己表現だと、思っている。自分が山(ひいては地球というフィールド)で何ができるのか。それを知りたいし、示したい。そういう意味では芸術一般と変わりがない。登山はダンスに似た身体表現の一種類だと私は考える。〉「富士山 世界で一番手頃な高所」より

             ★★★

わたしの同僚に、まったく登山をしないが「山岳小説を読む」ことや「山岳雑誌」を日常的に眺めることや、登山周辺のギア、ファッションなどに精通している方がいた(女性よ)

彼女がよく言っていた。

「山岳小説やエッセイってすごく面白いよね!」と。

わたしもそう思う。

そもそも登山とは、「審判や観客がいないところで行われるため、記録や報告文を残すのが登山家の重要な行為になっている」と教えてくれた。

そして、こうも言っていたな。

「だってさ、自然って、生命に対して無関心じゃん!吹雪になって、どんなに祈ろうと、叫ぼうと、お金を積もうと、自然は何もしてはくれないよ」と。

そんな、「超過酷で、しかも命がけで、無償の登山記録が読める書籍は、宝物じゃない!?」とまで言っていた。

職場にこうした「一見の価値」を認めつつ、「登山とは・・・一体なんだろう?」って、見つめる同胞が居た。

今思い起しても幸せな時間を共有できた。

                ー--

今回、紹介した「本当の登山の話をしよう」の著者である、服部 文祥氏は、登山の核心について、冒頭で述べている。

かなりの見栄っ張りな性格の著者は、早い時期から「ひと昔前の登山ヒエラルキー」に性根が侵されていたのだそうだ。

誰よりも早く、日本よりも海外のアルプスへ。

海外のアルプスよりヒマラヤへ、という風に。

そして、登山家の憧れ「K2」の遠征に参加することができた。

どんどん、ヒエラルキーの階段を「どうだ!」と言わんばかりに登り詰めていくのだが。

その後、ヒエラルキーなどまったく意味を持たない、ヒマラヤの麓で暮らす村人に刺激を受け、己の目指す道「サバイバル登山家」のスタイルが確立されていく。

要するに、K2が「本当に登りたい山じゃなかった!」ってことだと。

K2の遠征に参加したのは、「世界の憧れK2の登頂者」という肩書が欲しかっただけ。

当時のガールフレンドには「山登りなんて、ヒモをつけて岩を登るんでしょ?」と言われ、母親からは「命がけのことがカッコいいと思ってるんでしょ?!」と言われ、仕事の同期からも「それって、現実逃避なんじゃない?!」とか。

総じて、皆が皆、同じことを言う。

エッセイの中では、それは「なぜ、山に登るのか?」に意味を見つけることにそれぞれが躍起になってしまったように思えた。

とういうわけで、この書籍もかなり面白い登山の話がこれでもか!というぐらい披露されている。

しかも、すべて著者本人が体験した話。臨場感抜群だ(笑)

というわけで、普段は1000mから2000mぐらいの国内低山でハイキングをするわたしも、雨の続く今年のグリーンシーズンは読書三昧だったわ。

10月の最後あたりでどこかの低山にハイキングに出かけたいなあ。

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2025年9月30日記事

『あの道がそう言った』片岡 義男・著(JFAメディアワークス)【選書・文化】

【ブログ新規追加1560回】

簡単レビュー

一般社団法人日本自動車連盟(JAF)会員向け機関誌『JAF Mate』2017年5月号~12月号で8回に渡って連載された同名の人気エッセイ7作品。

および2016年11月号から連載された「片岡義男の回顧録」5作品をベースに、著者の50年に及ぶ執筆活動から生まれた2,000本超のエッセイの中から厳選した「道」「旅」「クルマ」「オートバイ」にまつわる49作品を加えたエッセイ集。

              ★★★

「片岡義男」でわたしはできている・・・。

正確に言えば、「片岡義男氏の小説」がわたしの10代後半~30代後半までを彩ってきた。

そして、好みの生き方を見つけるお手本だった。

ほぼ、すべての作品を舐めるように読み尽くしてきた記憶がある。

片岡義男氏の小説から「短編小説」の書き方を学んだし、『スローなブギにしてくれ』『アップルサイダーと彼女』など、片岡義男氏の作品のタイトルが素晴らしい!ので、そのタイトルに惹きこまれるかのような、幸せな読者時代を送ったのだ。

たぶん1番好きだった作品は『幸せは白いTシャツ』だったかな。

~ひとり旅が似合う女性ライダーの物語~だった。

小説のあらすじは「オートバイで一人旅に出ている若い女性が、旅先で出会う様々な人に出会い人生経験を積む。その中で2~3日おきに東京の自宅に電話をかけ、両親の間で進行中の離婚話の進展について聞く・・・という話。

また、小説のタイトルは忘れてしまったが、「年上女性の部屋でプラモデルを作る話で、彼女が遠くの郷里で見合い~結婚となり、彼女の部屋を引き払う時に彼女は結婚先の新居にプラモデルを持って行って飾った・・・」という話も一妙だった。

片岡義男作品は、特に短編では、淡々と物語の経過を述べて語って行き、最後に「あっ!」というささやかな「仕返し」があるのが好きだった。

要するに「技巧的な表現を多用」はしないのだ。

それでいて、爽やかな風が通りぬける作品ばかり。

怨念深いものもないし、比喩や揶揄ばかりの文章などまったく見あたらない。

そんな、片岡義男作品総集編をこの連休中に、あの頃を思い出して、もう舐めるかのように(笑)読み耽ったのよ。

もう、単なる回顧録とは違う、幸せ過ぎて素敵な休日となった。

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『魂の退社』稲垣 えみ子・著(東洋経済新聞社)【選書・文化】

【ブログ新規追加1556回】

『魂の退社』稲垣 えみ子・著(東洋経済新聞社)

簡単レビュー

出世競争や「もっと給料を」という欲望からもう自由になりたい――

人生の折り返し地点にさしかかり、そんな思いが日に日に強くなる著者。

だが会社を辞めて食べていけるのか?

お金がなくても幸せな人生とは?

大手新聞社社員が「50歳、夫なし、子なし、無職」になるまでの悪戦苦闘を明るくリアルに綴る。

すべての働く人に贈る、勇気と希望と笑いの詰まったエッセイ。

               ★★★

先月、営業先で退職した元同僚とばったり出会ったばかりで、頭の中でぐるぐると「わたしはいったいいつまで働く?」とか「このまま?」などと仕事と会社の関係を思い巡らせていた。

そして、うっすらと「仕事=わたし」でなくなった時のことも考えていた。

で、稲垣えみ子さんの退社エッセイを思いだして、急いで図書館に予約を入れたところ、あっという間に着ちゃったんで、先週末で一気に読んでしまったんでレビューと相成った経緯よ。

しかし、なんでこんなにこの方の文章は面白いのだろうか?

それほど、新聞記者として鍛えられたのだろうか?

いいや、思うに「天性の面白気質を持っている」方のようだ。

ひとつ、ひとつのことがらや、出来事に意味合いを持たせて文章を編み、経緯を並べ、読者に周知と納得をもたらす名人なんだろう・・・と推測してみた。

そして、エッセイのテーマが「会社員(自分)の退職について」と。

社内でまことしやかに繰り広げられる「理不尽な仕打ち」にいつまで耐えて勤めるのか?

TVドラマ「半沢直樹」で描かれていた通り「会社はそのすべてが一編のドラマ」であると言われていたな。

その一編のドラマを自分の手でひねりつぶすがごとく、定年を待たずに「辞める」とはなんと、勇気のいることか?!

そのあたりの心情がこれでもか!と、にくい(例えば、退職金は手切れ金とか)表現で描かれていて、スイスイ読めちゃう(笑)

退社エンタメという一書を、抱腹絶倒で読み切った週末だった。

ま、わたしは「自分の潮時の年齢=退社日」を決めているので、とにかくその日まで「健康」で「謙虚に学び続ける」日々を送って行こうと決意している。

まだまだ先は長い。全力でやりきる覚悟よ(笑)

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2020年9月14日記事

『SunTAMA Style』2021年9月14日記事

『SunTAMA Style』2022年9月14日記事

『Life Tour21 st』2015年9月14日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1039344186.html

「1日、25時間で行く!」

『みいこStyle』2018年9月14日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/12144473.html

「もう歳だから・・・なんて壁はない」

『スタイルを見つける』原 由美子・著(大和書房)【選書・文化】


【ブログ新規追加1554回】

『スタイルを見つける』原 由美子・著(大和書房)

Version 1.0.0

簡単レビュー

これまでに数多くの雑誌で魅力的なスタイルを提案してきた原由美子さん。
本書は、原由美子さんが、自身の暮らしについてつづった初のエッセイ集。


日々のなかで何を考え、何を選び、衣食住のスタイルを見つけていくか。
「自分のスタイルを持つことは大切だが、止まってしまってはだめ」と語る原由美子さんの、思索の過程ともの選びの視点が、新たな気づきを与えてくれる。


自宅の部屋や、長く着続けているお気に入りの服、アクセサリー、家具などのカラー写真も収録。


「自分で考えて、感じて、スタイルを持って生きていきたい」と考えているすべての人におすすめの一冊だ。

【目次】
朝食
スニーカー
サングラス
好きな色
カーディガン
きれいな色
アクセサリー
ブローチ
クローゼット
ガウン
バンダナ
ピンク
たかがTシャツ
されどTシャツ 1
されどTシャツ 2
制服
ジバンシィとオードリー
平服
大きなテーブル
椅子
衣食住
夕食スタイル
泳ぐ、歩く
ノート
きもの
黒髪の女
シャネル

               ★★★

今週、雨風に悩まされながらも、俄然秋の空気になってとても涼しい。

こんなに過ごしやすくなると、丸一日働いても、まだ疲れず「何か探したくなる」ものよね。

そんな気分にぴったりの一冊を久しぶりに手にとってみた。

自分のスタイルを持つ楽しみに気づかせてくれる一冊。

たとえば、「テーマカラーを持つこと」や「テーマアクセサリー」を持つことなど、日常に「自分だけの華やぎ」を持って悠々と生きる術を叶えることなど。

久しぶりにハッ?!とさせられた「スタイル」を磨く一書だった。

2024年版と比較的新しい本だし、気づきが随所に詰まっているので紹介した。

これで、秋の先取りは思うがまま(笑)

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『今度生まれたら』内館 牧子・著(講談社)【選書・文化】

【ブログ新規追加1547回】

簡単レビュー

70代では人生やり直せない?

人間に年齢は関係ない、なんてウソ。
人生100年はキレイごと。

「今度生まれたら、この人とは結婚しない」70歳の主婦、佐川夏江は自分がやり直しのきかない年齢になっていることにショックを受ける。

人生を振り返ると、あの時別の道を選んだらどうなっていたかと思うことばかり。

進学は、仕事は、結婚は。少しでも人生をやり直すため、夏江はやりたいことを始めようとあがく。

大好評の著者「高齢者小説」シリーズ。
「元気をもらいました」「自分のことのように読みました」「もっと早く読みたかった」
など読者の声多数のベストセラー!

            ★★★

小説家・内館牧子氏が書いた、NHK大河小説『毛利元就』では、作者自身のこんなエピソードがあった。

「大河小説用に原稿を何話分か書き溜めている」と。
これを聞いたある大作家が返した言葉は「そんなもん、作り置きの文章などダメだよ!毎週、毎日、もがいて、もがいて話を創り出すのが大河小説の書き手だろうが!」と喝破されたそうだ。

作り置きは、自分が安心するためだけのものであって、読者や視聴者を本当に楽しませるものではないんだなあ・・・。

わたしは、この大作家と内館牧子氏のやり取りを読んで、大・大納得した。で、さっそくブログにもその片鱗を今もなお、残して1日置きに書き続けている。

このブログでは11年間、ほぼ書き溜めてはいない。「鮮度だけはバッチリ」のものに育ててきた(笑)

要するに、「文章にも賞味期限がある!」ってこと。

寸前やタイミングを見事に捉えられた時、書き手も読み手も気分がいいものなのだ。

というわけで、この夏読んだ、1冊の小説から思い出したエピソードを書いた。

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2023年8月21日記事

『SunTAMA Style』2024年8月21日記事

『SunTAMA Style』2025年8月21日記事

『ずっと元気でいたければ60歳から食事を変えなさい』森 由香子・著/料理・川上文代(青春出版社)【選書・文化/健康】

【ブログ新規追加1538回】

『ずっと元気でいたければ60歳から食事を変えなさい』森 由香子・著/料理・川上文代(青春出版社)

簡単レビュー

青春新書プレイブックス『60歳から食事を変えなさい』のビジュアル版。


同じ高齢者なのに、若々しい人と、老け込んでしまう人がいる。
その大きな要因のひとつに、60歳からの食事があると著者は言う。


4000人を超える患者さんの食事記録と、最新栄養学からわかったことは、食べるものの割合、食べる量、食べ方など、「若い頃の習慣の延長では、いけない」ということ。


本書では、「すぐマネできる1週間の実践レシピ」「ひと目でわかる食材のたんぱく質量」「60歳から積極的に食べたい食材」など、年齢による身体の変化に合わせた食べ方やレシピを、写真とイラストでわかりすく紹介する。

           ★★★

まったく驚きの連続だった健康本。

我が家の朝ご飯だが、忙しい出勤前なので、完全にテンプレート化させていた。

メニューは、食パン(8枚切り1枚)、レタスか刻んだキャベツの大盛り、卵は目玉焼き、ベーコンかハム1枚、スライスチーズ1枚、ミニトマト2個、バナナ半分に無糖ヨーグルト、季節のジャム、落としたコーヒー。

だいたいこんな毎朝。

結構、頑張って用意してきたつもりだが、これでは本書によると、「まったくタンパク質が足りていない!」ということになるそうだ。

まず、ベーコンやハムは「タンパク質と捉えるのではない」のが驚きだった。加工品のベーコンやハムは「脂を多く含む肉類」となって、筋肉などに影響されないので、取り入れるのならお肉そのものを焼くなどするのが良いと。

で、そのメニュー例だが、朝からステーキ1枚とか、鶏ももと赤ピーマンの炒め物とか、驚きのメニューが並んでいたのだ。

朝から、ステーキ!?すごいご馳走のイメージだが、こういったタンパク質食材を朝・昼・晩にまんべんなく取り入れることが筋肉をつくり、ロコモやフレイルなどの運動機能を下げる身体の減少を遠ざける食べ方なんだそうだ。

そういえば、昔、ピアノを教えていた頃に知った90歳現役ピアニストの女性は、毎朝ステーキを食べていたっけ。

その姿に大変驚いたのだが、何せ己が若かったのでただ驚いてしまっただけ・・・(笑)

そのステーキ1枚が90歳現役ピアニストの身体を作っていたんだわ。

タンパク質恐るべし!


この書籍には一週間分の朝・昼・晩のメニューと写真、作り方が載っているから、参考にしながら、一日60gのたんぱく質をしっかり摂って行こう!と決めた。

さあ、夏休みまであと4日出勤。しっかりとタンパク質ファーストと水分補給で猛暑を乗り切ろう!

それでは、また!

ー-------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2022年8月3日記事

https://www.aylife.site/post-15806

「70歳の自分をリアルに想像する」【健康・高齢】

『Life Tour21st』2015年8月3日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1035781654.html

「複線思考で働く、デュアルに暮らす」


『荒野の胃袋』井上 荒野・著(潮出版/文庫レーベル)【選書・文化】

【ブログ新規追加1535回】

『荒野の胃袋』井上 荒野・著(潮出版/文庫レーベル)

簡単レビュー

映画『あちらにいる鬼』(2022年11月全国ロードショー)の原作者が紡ぐ、 「おいしいもの」にまつわる50の風景。

~食卓のおかげで私たちは「家族」だった~


2014年9月に刊行された、単行本『荒野の胃袋』の文庫化。

直木賞をはじめ、数多くの文学賞を受賞し、随筆やエッセイ、絵本の翻訳でも高い評価を受ける井上荒野さんは、食べることが大好きで、料理上手でも有名。

そんな著者が軽妙な筆致で描き出す、「おいしいもの」にまつわる50のショート・エッセイ。


食べ物の記憶にはいつも味や匂いとともに、ステキな情景や思い出もついてくる。

本文に紹介された一品をおいしく作れるレシピを、色鮮やかなカラーイラストとともに収録。


巻末には文庫化のための豪華特別対談 角田光代 × 井上荒野「生きること 食べること」を収録。必読だ。

◎ 本書に登場するメニュー紹介

全50のテーマ項目を「春」「夏」「秋」「冬」に分けて構成。

春→ にぎやかな筍 ◎今年もお弁当 ◎にぎやかな筍 ◎キングオブエビフライ ◎フランスうどんの音 ◎うどん問題、あるいはルーツ ◎ステーキバトル ◎コンビーフ自分史 ◎塗りものと二日酔い ◎煮干しはえらい ◎混ぜごはんの領土問題 ◎クレッソンとサラドと鰐梨と ◎ササミ礼賛

夏 →切ない梅酒 ◎外食考 ◎大人な茄子 ◎昔のとうもろこし ◎切ない梅酒 ◎香ばしき魂 ◎裏通りの冷やし中華 ◎ひみつのカニカマ ◎「しぼりたて」と「てかてか」 ◎王女様のチーズサンド ◎麦茶、あるいは敬意の問題 ◎青春のインスタントラーメン

秋 →夜とロシアとコロッケと ◎ろくちゃんの茄子 ◎煮込みの明日 ◎キングオブ干物 ◎ケーキを焼く理由 ◎幻のミートパイ ◎ひとり羊 ◎夜とロシアとコロッケと ◎なんちゃってポルチーニの幸福 ◎パーフェクトな秋刀魚 ◎絶滅危惧種の卵 ◎男らしさと油揚げ ◎じゃがいもをする話 ◎母と食べる

冬→ おせちを作る理由 ◎「ごろっとしたごはん」考 ◎レディとトランプのスパゲッティ ◎主婦の昼ごはん ◎葱の青いところ ◎孤高の牡蠣ごはん ◎干鱈と闘う ◎大晦日の鰤かぶら ◎悩ましきお雑煮 ◎黒豆の心 ◎おせちを作る理由 ◎元旦と甘酒 ◎がり餅と火鉢 ◎納豆と想像力 ◎最後の晩餐

               ★★★

これまで、井上荒野さんのエッセイは読み続けてきたが、本当に「食」に関する文章が多くて驚く。

なぜだか、読むこと(読了)を促進する井上荒野さんの文章がこれまた素晴らしい。

何しろ、美味しそうなテーブルの再現が文章でされていることが、「本書を手に取った読者を満足させる一番の要因」なんじゃないだろうか?

そして、その「料理」なり「器」が持つ背景がまたいいのだ。

例えば、「別れた男性から、料理を1品教えて欲しい」と、言われて教える場面。

これまで、生きてきた中で食べた数多くの料理の中から選び抜いた一品が、別れた彼女の作る「料理」だった。

そして、彼女から教えてもらった料理を作る男性の「至福」の人生が小さく完成する・・・。

小説の中にも「器」や「料理」を描く場面の多いことで、わたし自身も井上荒野小説に、一気に心を掴まれたことがある。

猛暑続きで、食欲減退ぎみの方へ!こんな一冊が貴方の胃袋を掴んで離さないかも(笑)

それでは、また!

----------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2022年7月24日記事

             

コンビニのさらなるよろずや化を知る~ちょっと硬いけれど、面白いタイトルの書籍も紹介🎶【暮らし/選書・役に立つもの/文化】

【ブログ新規追加1525回】

近頃は、ドラッグストアでインナーを販売しているのが普通になった。写真のインナーは主人が近所のドラッグストアで衝動買いしたもの。(確か780円税抜きとか)テロテロの素材で-7℃超冷感!というのに惹かれちゃったそう(笑)

わたしの仕事場である書店でも、リラックスウエアがだいたい置いてあるし。


そういえば、わたしも5月にコンビニのファミリーマートで、春色の靴下を買った。

そのファミマがさらに拡大して、現在では衣類まで売っているではないか?!

軽い驚きとともに、さっそく見に行ってきた。

• 商品画像/公式より

「綿麻 開襟シャツ」とか「綿麻 イージーパンツ」とか。

どれどれ、お値段は?

コンビニエンスウェア「綿麻 開襟シャツ」(くろ・M/通常価格・2990円)コンビニエンスウェア「綿麻 イージーパンツ」(くろ・M/通常価格・2990円)2着でだいたい6000円!コンビニでそんなに使う?!

時代が変わったのかな。なんとなくコンビニに行くことが滅多にないので、初動買いすることもないし。

でも、「使うあてのないお金」をたくさん持っていたら、ノリで買っちゃうかも(笑)


そんな、コンビニよろずや化の話を書いてみた。

• 商品画像/公式より


さて、今回、どうしても紹介したかった書籍があるので、ここに載せる。

『文学は何の役に立つのか?』平野啓一郎・著(岩波書店)

簡単レビュー

文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。

人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。

大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどる。

読者を新たな視座へと誘うエッセイ・批評集成である。

                ★★★

さて、「文学。特に小説が役に立つ」のか?どうか?

わたしは、役に立つと思う。

あの東日本大震災の後、被災地の書店がほぼ閉店してしまった。

それでも一部の書店が早々に開店したところ、被災された方々の多くが詰めかけ、皆さん、小説というか物語をたくさん購入されたと出版業界情報で聞いたことがあった。

現在では、全国のリアル書店が1万店を切ってしまった!と。書店減少に歯止めがかからない世の中だが、いざという時、人は書籍を文学を求めるのだろう。

きっと、それは日本人の基礎的教養の高さ=品格が備わっているからだと感じている。

今回、久しぶりに「文学の必要性」を考えさせられた一冊だった。

あなたの「いざ!」という時に必要な本は何?

そんなことを妄想してみてもいいかも。

それでは、また~~~♪

----------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2020年7月3日記事

『SunTAMA Style』2024年7月3日記事

トマトの初収穫でランチを作る~家事労働とテクノロジーの社会学・書籍紹介もあり🎶【暮らし/選書・文化】

【ブログ新規追加1524回】

5月GWに植えたトマトがやっと赤くなったので、さっそく収穫した。

ざく切り野菜のナポリタンを作ってみたが、肝心のトマトは皮が柔らかくて甘くとってもジューシー。

ここまで、味がいいとはちょっと驚きだった(笑)次の収穫も楽しみ♪

                 ★★★

さて、家事の社会学という分類の書籍を見つけたので紹介しよう。

『お母さんは忙しくなるばかり: 家事労働とテクノロジーの社会史』ルース・シュウォーツ・コーエン(著)法政大学出版局

簡単レビュー

19世紀以来の工業化、20世紀の家庭電化による家事労働の再編は、主婦の仕事を本当に楽にしたのだろうか?

かつては夫や子どもたち、さらには使用人も含めて分担していた家事労働が、テクノロジーの進化とともに主婦に集約されてゆくアイロニカルな過程を追う。

本書では、今日まで強固に存在する「男女別領域」の教義が確立される過程を、社会史・技術史の視点から描いた家事労働論の基本文献。柏木博氏推薦。〔社会史・技術史〕

                ー----

大学でまなぶ社会学の一端。いわゆる教材にもなっている書籍だ。

わたし自身も女性で、妻として、母として家事一切を取り仕切るのが通例だった。

しかも、息子からは「お母さんの趣味は家事?!」とか日ごろから言われていたっけ(笑)

確かに「掃除・選択・お料理」はかなり好き。「片付け」に至っては「大好き」だと自負しているわ。

そんな家事好きワーキングミセスの週末は、食品の買い出し(イベントね)家のザっと掃除が基本。

先週は、思い立って、やかんを磨いてみた。するすると落ちる焼き焦げが楽しい!

というわけで、トマトの初収穫を祝いナポリタンを作ったり、やかんを磨いてピカピカにしたり、主婦生活を満喫している様子を書いた。

それでは、また!

ー---------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2020年7月1日記事

『SunTAMA Style』2021年7月1日記事

『SunTAMA Style』2022年7月1日記事

『SunTAMA Style』2023年7月1日記事

『SunTAMA Style』2024年7月1日記事

『地上に星座をつくる』石川直樹・著(株式会社新潮社)【選書・文化】

【ブログ新規追加1518回】

『地上に星座をつくる』石川直樹・著(新潮文庫)

簡単レビュー

ぼくは未だ、旅の途上にいる。
山形、ヒマラヤ、パリ、知床、宮古島、アラスカ……
まだ見ぬ風景を追い求めて、世界中を旅した7年間の軌跡。
エベレストの山頂を眺めながら、この瞬間は二度と経験できないんだと思った。泣きたいくらい苦しいのに、それでもまたこの空間に身を置きたいと感じた。


旅を続けるのは、自分の身体で世界を知りたいから。

ガンジスの河口でカレーを味わい、カナダの森で松の香りをかぎ、沖縄の浜辺でクジラの皮膚に触り、知床の山でヒグマの足音を聞く。未知の風景を求め、そこだけに輝く一瞬を、撮って、繫げた、かけがえのない7年間の旅の記録。

                ★★★

旅が好き。山が好き。

だから、毎年数少ない旅行には必ず「山」を盛り込んで旅程を組んできた。

今回紹介した、写真家・石川直樹氏の文章や写真に触れると、なんとも言えない「山旅」の充実感を味わえる。

本書の丁寧に描かれた「山旅」の全貌は、次の旅への期待を誘う。

しかし、何年もそういった「山旅」が続けられるわけではなく、わたしもそろそろ「山は見るものであり、登るのは卒業かしら・・・」と、思うようになった。

それでも、ロープウェイやゴンドラを利用して「山の絶景」を見に行くことは、当分やめられない贅沢な旅の一つだろう。

わたし達の今は、部屋が暑ければエアコンを使って涼しくし、寒ければ暖かくする。それが都会の暮らしだとしたら、山はその対極にある。

山では、都会の利便性の高い環境ではなく、自分自身を変えていかなければそこにはいられないし、いてはならない。

機械や道具に頼れない、今いる環境に適応させる能力が最も必要なんだと思い知らされる。(登山装備とは別にしてだが)

この書籍は「月間 新潮」の連載で拾ったものだ。

そして、著者の語る旅先がひとつ、ひとつの星となり、しまいには星座ができあがって行く…なんともロマン溢れる発想ではないか。

となると、平凡な人生もその記憶の断片をひとつ、ひとつ書き起こしていくことで、「自分自身の唯一無二の星座」が出来上がるのよね。

誰にも知られなくていい。「自分の星座を作る旅に出よう」と、決めた。

自分の星座=旅の様子はこれまで通り、こちらのブログにしたためていく。

それにしても、表現の方法って無限(笑)

それでは、また!

ー---------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2024年6月17日記事

『Life Tour21 st』2016年 6月17日 記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1058453608.html

「6月はメンデルスゾーンで」