★2024年9月27日更新 苦しかったときの話をしようか~ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」【書評・ワークスタイル】

【ブログ新規更新136回】

昨年2019年の春。この本に出会った。

その時、わたしがいた場所は、「出禁」を喰らった書店。

まあ、「出禁」の話はおいといて、「苦しかったときの話をしようか」このタイトルに釘づけとなった、新刊コーナー。

悪いとは思ったが、一気に立ち読みさせてもらった。なにしろ、法外な言い分で「出禁」を出すような支店はこちらこそ御免だから。

もう二度と立ち入らないと決め、最後の滞在をした苦い経験。

さて、本題に入ろう。

苦しかったときの話をしようか~ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」森岡 毅・著(ダイヤモンド社)

この本の背景をまず、ざっくりと紹介する。

外資系で働く40代~50代前後だろう著者には、4人の子どもがいる。その中で大学2年になる娘の人生就活働くということの本質などを時間を見つけては、雑談などを入れながら話すことを楽しみにしていたのだ。

ある週末の午後。リビングでスマホを見ていた娘ににいつものように、エリートビジネスマンたらしく話かける著者。(ここから本書を引用する)

               ★

父「大学も2年を過ぎた。大学を「出たらどうするつもり?」といきなり切り出す。

娘「えっ?うん・・・」と、とっさに言われたせいなのか何も返せない。

父「就活とか大学院とか、そういう目先のことを聞いているのではないよ。将来はどんな仕事がしたいの?」

娘「うん・・・」ゆっくりと見ていたスマホを置いて、困った表情を父親に向けた。

そして、小さな声で「何がしたいのか、よくわからない・・・」と。

畳みかける父「じゃあ、自分が何をしたいのか、どうすればわかるようになると思う?」

娘「うん・・・」「そういうことも、よくわからない・・・

父「じゃあ、誰かに相談してみたのかな?」

娘「・・・」

さらに厳しく畳みかける父「そんな大事なことがよくわからないのに、放っておくのは一番まずいよね!わからないならわからないなりに行動を起こさないと。今まで何かしてみたの?」

娘「・・・・・・・・・・」

父「昨日と今日で全く差がない毎日を100年続けたって、問題は何も解決しないよね?どうしたらいいと思う?」

娘「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

娘「だから、言う事はわかるけど、わからないんだよ!!」と出て行ってしまった。

                  ★                     

と、こんな冒頭。

著者は沈黙との戦いではいつも分が悪いのだそうだ。

いわゆる「瞬間湯沸かし器」ついついガンガン畳みこんで、何とか相手の口を割ろうとする悪いクセが出てしまう。

それでも、この長女をはじめ、4人の子どもたちが巣立つ前に、ビジネス=仕事の本質を伝えなければ!という親としての使命感がムクムクと湧いた。

激務の中、丸一年も書きためてきた迫真極まるビジネスの本質を子どもにもわかるように言語化された素晴らしい教科書だ。

この娘に対する答えは一人一人が出さねばなるまいが、自分の将来や仕事を考える際の「考え方=フレームワーク」は知っておいたほうが良いのは間違いない。

この本から得られる考え方は言うなれば、子どもたちがキャリアの判断に困った時にひも解き、役立つ虎の巻を作ろうと思い立ったのだそうだ。

ビジネスの最前線で生きてきた実務家としての著者の視点を、子どもたちの人生の上での成功を願う、父の執念で書き出した名書である。

ここで、この本の目次を紹介する

【もくじ】

はじめに 残酷な世界の希望とは何か?

第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ

第2章 学校では教えてくれない世界の秘密

第3章 自分の強みをどう知るか

第4章 自分をマーケティングせよ!

第5章 苦しかったときの話をしようか

第6章 自分の「弱さ」とどう向き合うのか?

おわりに あなたはもっと高く飛べる!

● 苦しかった時の話をしようか~著者自らが最大の苦境を脱出する場面が圧巻

第5章「苦しかった時の話をしようか」は、何回読んでも泣ける。世界的大企業P&Gのブランディングマネージャーとして、海外本社勤務となった著者が、企業幹部に昇格、血尿を出しながら大奮闘するも、売り上げも人望もすべて失いかける場面が壮絶だ。

毎日の激務に、4人の子どもたちの進路や生活基盤のすべてを取り仕切る著者。己に対する過信からか、職場でのあらぬ囁きが耳に入る頃にはすべてを失いかけていた。

職場では上司となった日本人の著者のことを「無価値な人間」だと言われていた。それも影でだ。

著者曰く、彼らほど、本音と建前を絶妙に使い分ける人種はいない。だって、普段はおどろくほどフレンドリーだから。

著者の評価は日に日に落ち込み、アルバイトにまでバカにされるようになってしまう。

大事な会議に呼ばれないのは日常茶飯事。常に根回しは完璧にされている。職場に新鮮な情報が入れられないもどかしさが続く。

意外なほど、海外であっても、卑怯な足をひっぱる輩が多くドリームなんかまったく見当たらない。しかも、いつでも影でその陰謀は深々と進んでいた。

このことを知った著者は激しい劣等感と低評価に苛まれて、不眠症と鬱を患う。

一番苦しかったのは、自分が自分に正当な評価を与えられず、自信喪失してしまうことだった。

また、自分がいいと思えないものや、信じられないものを、人に信じさせなければならなかった海外ビジネスの手法も著者を苦しめるものだった。

無能で存在自体が無価値とまで言われて、職場で孤立無援となってしまった上司。

しかし、このあと、一瞬で場面を変えてしまうのだ。著者は苦しみの境地の中で一筋の光を見つけた。それは、己の自信だった。そう、自信だけだったのだ。いろ鮮やかな変化の朝を迎える。

会社からは、これで最後だと言われた日の朝。布団を蹴って飛び起きた。そして、元気漲る笑顔で出社する。

まわりの誰もが、昨日までの著者とは打って変わった雰囲気に圧倒され、皆が、どんどん、著者の指図で動き出す。

この光景を見たP&Gの役員は、その日の晩、著者に留まるようにと。それから詫びを入れてくるのだ。

すべては、自分の中にあったのだ。

自分が変われば、すべてが変わる。

変わることを恐れるな!と、この虎の巻は教えている。

そして、この世界は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる!と結ばれる。

               ★    

わたしは、ビジネス書が大好きで、ビジネス書から様々な問題解決の方法や、生き方などの処世術を学ぶのがライフテーマだ。

一般的な表現で書かれた本や記事はつまらないが、こうした著者自身の生き生きとした体験、喜び、苦しみ等、息ずかいまで感じられる本にはなかなか出会えない。

ビジネスの世界で生き抜いてきた超一流の猛者だ。

※以前書いたブログ「なぜ、ビジネス本を読むのか」も掲載しておこう。https://aystrategy.wordpress.com/2020/03/28/ビジネス本を好んで読む理由。/?preview_id

休日にはこうして、ビジネスモードの羽を休めて、ゆったりと読書するのがいい。

でも、せっかく読んで、いい本だったら、すぐにアウトプットしたくなるってもの。

これで、読書筋×執筆筋のワークアウト終了。

さ、飲むぞ・笑

● 森岡 毅 著者プロフィール

戦略家・マーケター。
高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイディアを生み出すノウハウ、マーケティング理論等、一連の暗黙知であったマーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」を開発。

経営危機にあったUSJに導入し、わずか数年で劇的に経営再建した。

1972年生まれ、神戸大学経営学部卒。
1996年、P&G入社。日本ウィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネジャー、ウェラジャパン副代表等を経て、2010年にユー・エス・ジェイ入社。

革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったUSJをV字回復させる。
2012年より同社チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、マーケティング本部長。2017年にUSJを退社し、マーケティング精鋭集団「刀」を設立。


「マーケティングで日本を元気に」という大義の下、数々のプロジェクトを推進。著書多数。

★2024年9月20日更新 読書と芸術の秋到来!芸術本の紹介~アート思考とデザイン思考の違いも学ぶ【書評・文化】

【ブログ更新134回】

〇〇の秋は多々あるけど、今回は堂々、芸術の秋への挑戦をする。しかも、読書で!心を動かす芸術本の解説をしよう。

● アートのすすめ 秋元 康・著(美術出版社)

あの、名クリエイター秋元 康氏が、その時々で刺激を受けてきた著名な俳優、女優、歌手、画家、各界評論家など全29人の老若男女とのデートを実現させてきた。

その場所はすべて美術館だ。秋元康氏が選びセッティングする気合の入ったデートとなった。

先日、わたしも訪れたばかりの「東京都庭園美術館」にも(故)川島なお美さんとデートされていた。

まったく知らない美術館施設も多く、改めて行きたくなったところはインスタグラムのフォローをしたり、WEBで現在の状況などを確かめてあっという間に数時間が経ってしまった。

旅読本ともいえるね。

10月のGOTOキャンペーンにも使えそうな施設も多い。

● 秋元氏が一貫して読者に「伝えよう」としていることとは

まず、ひとつに「ものごとはシンプルに考える」ことだと。次いで、「偶然は必然」であるものだそう。

そして、デートのお相手を想像して、「ストーリーを追うこと」が最大の楽しみ。

さらに、「ストーリーを作り上げる」過程をこよなく愛するという名クリエイターの言葉には、端的で一切無駄のない思考の持ち主だと脱帽したのだ。

で、最後に、これだけは言っておきたいことは「わが道をゆく」ことだと。

  • シンプルに考える
  • 偶然は必然
  • ストーリーを追え
  • 作り上げる
  • わが道を行く

秋元 康氏の思考が散らばった素晴らしい本。自分の思考の刷新をしたい!なんていう場合もいい教科書になるだろう。

また、日本中の素敵極まりない美術館でのデート対談はことのほか素晴らしい。

● デザイン思考とアート思考の違いを改めて書き出してみた

秋ならではの「ニンジンと豆腐のスープ」

デザイン思考とアート思考。この二つはよく比較されるものだ。

近年イノベーションの手法として注目を集めているデザイン思考デザイン思考とは、利用者を深く理解することにより、利用者の潜在的な課題にアプローチし、解決策を生み出す思考法。

一方の、アート思考は、自分を起点に、価値観の再定義を繰り返しながら、自分なりの答えを描き出す、よりクリエイター色の出やすい思考法だ。要するにセンスのアップグレードが狙いだ。

より鮮明な考え方になるが、デザイン思考では、基本的にものごとの道筋さえ、しっかりと導ければ、誰でも同じ結論にたどりつけるという思考法。

たとえば、水道の蛇口をひねると水が出る→水を止めるのも蛇口を回すという一連の動作にデザイン思考はふんだんに含まれている。

暮らしや生きるための知恵や常識となる考え方。

一方、アート思考は徹底的にものごとの「違い」を作り出す思考法。アーティストといわれる人は、常に他人とは違うデザインや切り口で作品を創作している。

さらに、芸術といわれる作品の解釈は、観る人にゆだねられているものだ。だから、一つとして同じものはない。

ここで言えることは、アート思考では「同じ」を増やさず、「違い」を増やす思考法なのだ。

この誰でもたどれる道筋も、同じを増やさない考え方も、人間が生きやすくすることに重要な役目があるのだそうだ。

違いを知ることは、知識の泉を何倍にもしてくれる。

最後に紹介したい本をもう一冊。

閉塞感を打ち破る自分起点の思考法

建築士→アート研究者→大企業での新規事業立ち上げ→起業家
様々な領域を行き来し試行錯誤を重ねた著者。


答えのない時代を生き抜くための1つの答えにたどりついた。

それが、アート・シンキング

なぜいまビジネスにも人生にも「アート」が求められているのか?

アートに精通し、ビジネスの現場にアーティストの思考を取り入れる話題の一書だ。

【お知らせ】

9月21~22日はブログメンテナンスのため、お休みします。再開の時にはどうぞ、よろしくお願いいたします。Miiko



読書の秋「運命の一冊」を探す旅~読書で人生は変えられる 【書評・自己啓発】

【ブログ更新125回】

● さまざまな人生問題の95%以上は本で解決できる

今の現状に満足している人はほとんどいない。

もっと、収入があれば・・・

もっと、やりたいことがあるし、天職をみつけたい・・・

もっと、家族や同僚・友達との関係もよくしたい・・・

このもっともっともっと・・・の希望はいくらでも上げられるし、キリがないだろう。

このもっとを解決する唯一の方法は読書だ。今、もやもやする生活から速攻で脱出するには読書をおススメする。

なぜなら、「本」の世界は驚くほど深淵なもの。この世のありとあらゆる問題を解決できるのではないだろうか?

この「本」で、さまざまな問題を解決できる!論は精神科医/樺沢紫苑氏の論説だ。しかも氏、曰く95%にも及ぶのだそうだ。

驚き。

自分の頭でいくら状況を打開しようと首をひねっても、それには、今までの蓄積が足りてなければ、すぐに限界値が見えてしまうもの。

わたしも経験豊富な人を頼る場面がないわけではないが、大抵のことは「本」で解決できてきた。

それは、人の知恵と本の知恵を掛け合わせて問題解決を続けてきたともいえる。

たった1500円前後の本に何千、いいや、何万という人たちの経験や事例、失敗した、上手く行ったなど、いくらでもお手本例を引き出せるものだからだ。

先人の知恵は本屋に行けばいくらでも売っているのよ・笑

ただ、フロー情報という新しい流れてしまうものはネット検索など、いわゆる一次情報で充分かもしれない。

しかし、手元にストックして置きたい知識や先人の知恵は、本でしっかりと押さえておきたいものだ。

● 知識の貯蓄してる?

お金の貯蓄ならどんな人でも興味津々で、話を聞くだろうが、いざ、知識の貯蓄って?はて?と、首をひねるだろう。

ここでいう、知識の貯蓄の源もやはり「本」だ。数々の困難も、本の知恵の貯蓄で乗り越えて来れたと自負している。

今まで、相当の数の「本」を読み続けてきて、「本」のあれこれを詰め込んだ特化ブログを継続中。

わたしのやりたいことはこれだったんだと「本」が教えてくれた。

わたしの知識の貯蓄法3選

① 純粋に今の仕事に活かせる本を選ぶ。(仕事が変われば読む本も変わる)

② 物語や小説の類(これは、文体の好み、趣味し好に準じている。わたしは片岡義男氏&村上春樹氏&村上龍氏の作品は、表面的にはほぼ読み尽くしてきた。けっして男性的思考ではないが)

③ 運命の一冊 (文字通り、己の人生を変えた!揺るがす!一冊。人により複数冊ある場合もあり)

と、こんな3つの「本」から得る知識の貯蓄を、かれこれ40年近く重ねてきた。

この3つにすべてが収まっているとは、自分で書いてみて驚きだ。

● わたしの「運命の一冊」

さて、わたしの運命の一冊を紹介しよう。

さあ、才能(自分)に目覚めよう

コロナ禍で不安定な今だからこそ、自分を知ろう

【書籍概要】

累計96万部突破。

隠れた才能を開花させるための戦略やアイデア、ヒントが満載!

あなたは毎日、最も得意な仕事をする機会に恵まれているか?

全世界で2,351万人が活用したストレングスファインダー考案。

ウェブテストで、あなたの強みを「見える化」しよう。

巻末にストレングスファインダーテストコードが添付されている。

このコードを使って、あなた個人の強みを知る事ができる。

それは、一つではなく、多角的に強みを導いてくれる優れたテストなのだ。

人生で、様々なテストを受けてきたであろうが、自分の強みを知るテストはほとんどの人は受けてはいない。

であれば、今すぐにでも自分の強みを知って、仕事や家庭、人間関係などに活かしてみてはいかがだろうか?

毎日、自分の強みを使うチャンスがあるだろうか。おそらくないだろう。

多くの場合、才能は未開発のままだ。ゆりかごから職場まで、私たちは強みを伸ばすよりも欠点を直すために多くの時間を割いている。


人が才能や強みなど「その人の良いところ」を見出すには、まず、それらについて自分自身やまわりの人たちに説明できるように「言語化」する必要がある。

2001年に出版し、人々が持つ「34の資質」を明らかにした『さあ、才能に目覚めよう』は国内で累計50万部のベストセラーとなり、世界中で話題となった。

あなたの強みを「見える化」してくれるツール〈ストレングス・ファインダー〉を使って「トップ5の資質」を発見した人の数はいまや数百万人に及ぶ。

著者について

トム・ラス
優れたビジネス思想家であり、ベストセラー作家のひとり。

著書に、本書のリーダーシップ編にあたる『ストレングス・リーダーシップ』や、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストで第1位を獲得した『心のなかの幸福のバケツ』(いずれも共著、日本経済新聞出版社)、『幸福の習慣』(共著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

ミシガン大学とペンシルベニア大学で学位を取得。現在はワシントンDCで家族と暮らす。

● なぜ、「運命の一冊」なのか

なぜ、わたしの運命の一冊になったなのか。それは12年前の脳出血発病後、退院し家に帰った時のこと.。

これから、この麻痺がある身体と共に、一生、どうやって生きていけばいいのか?すべての仕事にどうやって戻るか?一日中うなされるように考え続けていた。

その時、本棚に倒れる前に買っていた、「さあ、才能に目覚めよう」が目に入ったのだ。ピン!ときて、もう、貪るように読んだ。

そこには、数々の困難を独自の方法で乗り越えた人達のレポート集が載っていたのだ。

そのレポートの中に、ひとりの弁護士(男性・40代)がいた。

彼は、ある日突然脳の病気で倒れた。症状はわたしとよく似ていて、運よく命は取り留めたっものの、重度の言語障害を患ってしまう。50音の「か」行が発音できず全滅だったと。

その後、燃えるような激しいリハビリを自分に課して、見事、法廷の現場に弁護士として戻る。

彼の言語障害の克服方法は「すべての言葉をゆっくりと話す」これだけだった。そして、その後、彼はすべての弁護で勝訴を勝ち取るのだった。

1音1音ゆっくりと話すことで勝訴できる!言語障害をどう克服するかがすべての課題だったわたしは、一筋の光明を見出したのだ。

彼独自のスピーキングで、身振り手振りを入れながら、向き合う相手に真摯な言葉かけをしていったそうだ。

その姿に周りは感動する。話を聞き逃さないようにしながら一生懸命聞いてくれるのだ。

こういった、周りを巻き込みながら、自分の主張を伝えていく過程は、その後のわたしの大きな礎となった。

わたしは、この方法を自分の仕事復活の第一に応用しようと決め、その日から彼の取り組んだ方法を日本語に変換して、まず、50音をひとつ、ひとつ、ゆっくりと大きな声で発音することから始めた。

猛然とというか狂ったように、一日何時間も言葉を紡ぐ練習をした。

現実に弁護士が職場に戻っている!と。この事実に圧倒されたし、希望の未来を描けるようにわたし自身が生まれ変われたのだ。

そして、彼の体験を信じて圧倒的に練習に取り組むことで、会社との約束であった6ヶ月後に営業に復帰できた。

たった一冊の「運命の本」との出会いで、わたしの人生は開かれた。

やはり事実に勝るものはない。「事実は小説よりも奇なり」だと。また、ネットとは違う本の持つ信憑性の高さにも評価がなされるものだ。

さて、この秋、新たな運命の一冊を探す旅をはじめよう。

文体を知るには本をしっかりと読むことから始まる~村上春樹氏の文体をひも解く 【書評・文化】

【ブログ更新111回】

クラウドソーシング「ランサーズ」

昨日の某新聞のコラムにこんな記事があった。

このところの読書量の低下が危惧されているという記事。しかも読書量の低下は年代を問わずだということだ。

現代は60代でも本を読まなくなった

20代から60代で1ヵ月に紙の本を読むのは「0冊」と答えた人は、平成25年時には28,1%だったのが、同30年には48,8%に増加。約半数の人が「1冊も読まない」という結果だったと。(国立青少年振興機関調査による)

まったく、本を読まないのではなく、本屋にも行かないのだろうか、また、電子書籍やオーディオブックなどの利用者、そのあたりの動向も合わせて調査してほしかった。

今となっては、書店で身銭を切って読みたい本を買う、このこと自体、精神的に贅沢な習慣であり、文化の継承を担う大切な行為なのだ。

わたしの仕事は書店営業だ。書店へ訪問し、担当という人間を相手に自社の書籍を紹介し売る。書籍は事前に配本制度によって、様々な本が店舗クラス別に数字が定められ、取次から搬入される。

少ない数字なら棚に入ってしまい、売れなければポスで落とされて返品されてゆく。そこを、数の調整をして平積みにしてもらうことや、売れ筋作家のフェアを組んでもらうなど、平常の在庫チェックやストックの管理以外にもやることは膨大だ。

で、昨日も感じたのは、今、店頭には第163回芥川賞受賞の2作品が、だいたいどこでもど~んと平積みされている。その中に混じって、今月の売れ筋、例えば村上春樹氏の新刊2冊がこれまたど~んと積まれている状況。

しかし、売れるも売れないも、すべて書店のプロ級の売り場担当のセンス一つだ。本の席は売れる順番がある。このマーケティングの基本を押さえているのがプロなのだ。

京都・三条 丸善書店にて

しかし、以前も書いたことだか、本は売れないのに、書きたい人は爆発的に増えている。なぜなら、SNS効果で、皆が文章に親しんで、ちょっとしたことから深い内容のことまで文章で表現し始めたからだ。

だから、書きたい人はどこかで己の文章を発表するためにSNSを海遊する海遊魚になっているのだと言われている。

アマチュア小説のサイトカクヨム、noteのような独自のセンスを元にアマチュアから一部のプロ達の作品を集め、企業コラボで作品賞を公募するサイトなど、SNS機能をふんだんに利用して沸きに沸いたサイト運営をされている。

思うに、時代は変われど、心に読書と思索の暇を作るのが、書く前の先決ではないかと。

要するにネットであれ、紙であれ、もっともっと本を読もう!という話だ。もう、秋だしね。

● 文体の基本で悩んだらこれ

さて、ここで、文体の話を。

今まで5年ブログを運営してきているが、ごくたまに質問を受ける。

例えば「SNSで何か書きたいのだけど、です・ます調?だ・である調?ここでつまずいてしまい、なかなか書けない」と、自分らしく書けないもどかしい思いを、先日ちょっとした会話の中で聞いた。

この一見基本的な部分でのつまづき、多くのSNS慣れした人ならば、な~んだ!そんなこと!と思うかもしれないが、とても当人にとっては「一大事」な部分。

で、わたしはその質問にこう答えた。

どういった内容で誰に向けて書きたいのか?によります」と、お応えした。小さな子どもにでもわかるように書くなら、「だよね」でもいいが、対大人であれば、「ですよね」となる。この違いを見分けながら書くのが基本だ。

わたしはブログ第1回からずっと「常体」(だ・である調)で書いてきた。はじめは気恥ずかしかったが、慣れるもので今ではこの書き方で統一している。

もし、書き方で悩みがあるなら、編集者と呼ばれる人たちの文章に触れるとよい。彼らは文章のプロだ。わたしもお気に入り編集者3人の記事やブログ、書籍をすべて読んでいるが、本当に役立つ発信ばかり。

限られた時間を無駄な発信を読むことに費やすことはできない。それほど編集者の発信は有益であり、主張でもある。

こうした何気ない勉強と、普段から書籍をしっかりと読み込むことで、文体のあれこれに囚われずに書けるようになるものなのだ。

頭で考えるよりも、触れて感じろって・笑

軽~い内容の文章の末尾が「・・・だ」「である」では重い。そういうことが肌でわかるようになるだろう。

要するに軽いしゃべり言葉の延長なら「だよね!」で充分。

● 書き手と文体の関係性がわかった

文体とはなんだろう・・・ここが自分の頭の中にすっと、浸透するレベルで理解が進んだ時があった。

きっかけは、京都の天王山で頂いたウイスキーを味った同時期に、スコットランドのアイラ島を舞台に書かれたウイスキーと言葉の話という作品に出会い旅先で読んだのだ。

ひとことで言えば、わたしは村上春樹氏のエッセイを旅先でなぞりながら(お酒を頂きながら)の読書旅をしたのだ。アイラ島ではなく真夏の京都で。

サントリー天王山・山崎蒸留所にて

春樹氏の持つ、文体の魔力に一気にやられてしまったのだ。

村上春樹氏がシングルモルトを好んで飲むのは言葉しかない世界で生きるために「自分をほどくため」に飲むのだ語る。また、こんな文章が。

もし僕らのことばがウイスキーであったなら」村上春樹・著

~「もし僕らのことばがウイスキーであったなら、もちろんこれほど苦労することもなかった」はずだ。

ぼくは黙ってグラスを差し出し、あなたはそれを受け取って靜かに喉に送りこむ、それだけですんだはずだ。

とてもシンプルで、とても親密で、とても性格だ。

しかし、残念ながら、僕らはことばがことばであり、ことばでしかない世界に住んでいる。僕らはすべてのものごとを、何か別の素面(しらふ)のものに置き換えて語り、その限定性の中で生きていくしかない。でも例外的に、ほんのわずかな幸福な時間に、僕らのことばはほんとうにウイスキーになることがある~文中から

~真夏の京都。

ビールは喉に染みわたるも体に素通りしていく水のようなものだ。

しかし、ウイスキーは喉をある意味こじ開け、体の隅々にまで浸透し行き渡る熱を楽しむ飲み物なのだ~

ビールとウイスキーの喉ごしの違いを村上春樹風文体で書いてみた・笑

そして上の文章が、村上氏の書く文章から読みとった感覚だった。

自分流に解釈し、飲み込むことで、そこはかとなく流れる、わずかな幸福の時間を過ごせた。まるで文体がここまで、わたし達を連れてきてくれたような気分。

書きたいことよりも、己の文体=伝わる力を最優先する文章。やはり天才的な書き手だ。

村上春樹氏の作品すべてが、こうも読みやすいものばかりではないことは、世間で多くのハルキストが語れるであろう。

どんな長編小説でもプロットを立てずに一気にどんどん書き、推敲に推敲を重ねる独自のスタイル。文章のリズムが悪い場合は、わざわざ英語で執筆し、それを翻訳する手間を使い、まったく別ものを生み出す。

しかし、わたしのようなハルキストではない、普通の人間であっても、氏の書く豊潤な文章に酔いしれることができた。

すべてが文体に始まり、文体に帰着していることが体でわかったのだ。

それは、氏の持つ緻密な文体構築戦略にハマれるかどうかが勝負だったのかも・笑

起きていることはすべて正しい~最悪な時に学んだ、運を戦略的につかむ方法 【書評・自己啓発】

【ブログ更新110回】

※ 2019年3月3日のブログを加筆して再登場させました。

2009年真夏の8月、突然の脳出血で倒れた私は、意識が戻り麻痺した半身を抱えながらこの先どうやって仕事に復帰するか?こんな事ばかり入院中考えていた。

厳しいリハビリにも泣いている暇はなく「家に帰ったらまず、真っ先に読もう!」と決めていたのがそれまで3回以上再読していた、この勝間和代氏の著作「起きていることはすべて正しい」だった。

この作品が出版された2008年は、わたしが今の出版社に転職を果たした年。

この作品に書かれている彼女の座右の銘起きていることはすべて正しい」の新骨頂は、自分に降りかかってきた物事の捉え方ひとつでどんな風にも生き方は変わってしまう、セレンディピティ(偶然の引き寄せ)までもコントロールできる法則・・・との内容に飛びついた作品だった。

わたしがピアノ教師からある日突然、転職をはじめ、勢いのあるなかで、出会った出版社と大好きな本への道。このあたりは3年前に初出版した電子書籍にも詳しく記したが、この本から得たヒントがどれだけ転職に有利に働いたのか計り知れない。

女性が、仕事をしなくては食べていけない状況になった時、メンタルからキャリア構成まで社会の一部として機能するためのノウハウ、そこから収入と自分自身の持つキャリアの対価など、仕事そのものだけでなく、働くために必要な働き脳を育成できる書籍だ

では、「起きていることはすべて正しい」の紹介をしよう。

 まず、「運を戦略的につかむ」という発想のヒントになるもくじの羅列をしてみる。


はじめに~メンタル筋力と運をつかむ勝間式4つの技術

● 第1章「偶然を幸運に変える」

「セレンディピティの技術」女優、黒木瞳さんとの出会いから、この1年に起きた「8つの偶然」をいかに幸運に変えたのか?

「効率化すると疲れる、大変ですね!」の大いなる誤解

「メンタル筋力」が強い人、5つの特長

20年間「打たれ弱かった」私の幼少~大学時代「ひきこもり」を脱した3つの問題解決法

21歳、出産・育児で世界観が一変・・・etc.


技術面をサポートするメンタル筋力をつける方法3つの柱からなるメンタル筋力を鍛えるメソッド。


第2章 あなたの潜在意識が目覚める脳内フレーム120%活用法(97%の潜在意識の活用で成果が10倍に)


第3章 99%捨て、1%の本質をつかむ即断即決法※わたしはこの章は繰り返し今でも読んでいる重要な章。


● 第4章 「4つのダイヤ」を引き寄せるパーソナル資産増強法※資産の概念が変わるここも重要章。


● 第5章 勝間式人間関係の兵法「5つのわがまま力」で年収が20倍になった秘密。

と、こんな煽りとも取れそうな目次だが、10年前のビジネス本なんて、もう今の時代には通用しない場合がほとんど。

しかし、意外なほどこれはまだまだイケる。

なぜなら古いビジネス書の書き出しとはまるで違う勝間氏自身のエピソードが満載で、読み物としても面白い。で、新しい自分の構築に取り掛かりたいならば、すぐに取り組むのが効果的な思考変革だという。ある意味メソッド(教科書)として使うには最適な教材だと思う。

今回はあえて、内容には触れずにおこう。

彼女が文中で繰り返し語っているのは「運を実力に変えることは誰もが習慣と訓練で習得可能だ」ということ。

実際、わたしも病後11年を迎えた今年、まだまだ若干の身体の麻痺、言語障害などが後遺症として残るものの、見た目は変わらず、かえって元気になった感じさえする。

運が良かっただけかもしれないけど、事前に読んでいたおかげで、運を引き寄せたのかもしれない。


そうか!変えられるんだ!と、思ったら騙されたと思って読んでみて(笑)




【書評/健康・ワークスタイル】シリコンバレー式・自分を変える最強の食事&日本の論点~2冊の本から学ぶ、食費と頭に入れる情報の金額を同じに~頭も体も最強になる方法

【ブログ更新104回】

シリコンバレー式 自分を変える 最強の食事 デイヴ・アスプリー ・著(ダイヤモンド社)

以前のブログで、この本が出たばかりの時に飛びついて買い、すぐにブックレビューを書いた。今回、なぜこの本を取り上げたのか?

ここ数年の猛暑がひどく身体を痛めると感じている。実は昨日、あまりの歯痛と身体の節々の痛さにやっとの思いで仕事を終え、速攻で帰り寝込んでしまった。

たぶん、熱中症の一環だ。水分もたくさん取り、車中でも常にエアコンをかけて運転。しかし、2日間で180キロの運転で、直射日光を浴びたような目の疲れや痛み、もちろん喉は完全にやられてしまった。

軽い火傷を負った後のように身体のあちこちが痛んだ。自然の猛威をまともに受けていたら、気づいた時には倒れるって!

で、このシリコンバレー式の食事法に、身体を芯から鍛える食事の内容が書かれていたことを思いだしたので、緊急書評にしてみた。

次いで、大前研一氏の「日本の論点」にも食費と情報費用を同等にすると、ビジネスマンにとって最強の頭と身体が手に入るという、興味深い一書も合わせて紹介しよう。

著者 デイヴ・アスプリーについて

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」 (デイズ・アスブリー著)

テーマは、炭水化物?、低カロリーダイエット?菜食主義?いったいどれが本当?

この本の著者は20代の頃、シリコンバレーで起業して猛烈な働き方をし、気が付いたら体重160キロの巨漢になっていた。

全米ベストセラーとなった、シリコンバレー式 自分を変える最強の食事(原題:THE BULLETPROOF DIET=完全無欠ダイエット)には、IT企業家のデイヴ・アスプリー氏が、15年間で30万ドルもの私財を投じ、世界中のダイエット法を自分のカラダで徹底的に検証した結果が集約されている。

デイヴ氏自ら、50kgの減量、IQ20ポイントアップという結果を出した。ダイエットを始める以前のデイブ氏、主治医よりこんな診断を言い渡されていた。

「遠くない将来、脳卒中か心臓発作で死ぬだろう」と宣告される。

ただ、好きな仕事ができていただけ。見た目もぶざまで、とても彼女などできそうもない

著者はここで、「これは基本的に頭の使い方が悪いんでは?」と思い直す。

早速、世界中のダイエットや健康法の情報を仕入れて研究を重ね、独自の方法を組み立て実践した結果、毎日0,5キロ痩せてパフォーマンスが最大化!した。

その脳科学から栄養学・生科学までの最強の知見を集めた書となっている。

著者が実際に行った食べ方・飲み方及び運動のルーティンを紹介


①朝はヨーグルトよりバターを取る。
 (バター入りのコーヒーが話題になっている)


②週1回で15分だけ運動をする。
 (このほうが適切な筋肉がつきやすいという)


③炭水化物は夜取る。


④水はコップ半分づつ飲む。

意外だがたったこれだけだ。
一度の食事でここまで体は反応するのか!と思うほど、集中力、気力、IQ、美容、健康、体型すべてを変えてしまうということだ。

簡単な書きだし項目だけ引き出してみたが、何やら即効性もありそうで、当時思わず実践した結果は下記に記した。

写真は以前のブログで、当時わたしが用意したバターコーヒーの食材3点。

バターコーヒーが意外なほど、しつこくなく、ゆったりと胃に沁み込んでゆく感覚に大いにハマった記憶がある。もちろんブラックだから、朝一杯で一日快調だった。

バターの高い栄養価と大好きなコーヒー。ココナッツオイルはフレーバーが遊びごごろをくすぐるもので、秋口の今からバターコーヒーで滋養強壮に一役買ってもらおうという魂胆だ。

また、この本では、巨漢の著者自らの実体験を元に書かれていて共感するところが多々ある。

身体の改善からパフォーマンスが最大化するためには上質な情報が必要な理由

以前、大前研一氏の著作「日本の論点」で読んだビジネス向けの情報の取り方であるが、「胃に入れる食費と頭に入れる情報の金額を同じにする。情報は自分から取りにいかなければ価値を生まない。毎日の情報から、いかに自分に役立つものを取りこんでくるかである」と、この部分が、シリコンバレー式とほぼ同じ考え方だった。

身体を適度に痩せさせて、パフォーマンスを最大化したら、規則正しい食事を摂り、その食費と同じだけの書籍やサブスク、講演などの学習や情報収集にお金をかけるべきだ。これがシリコンバレー式。

食べ方も頭の中への情報の入れ方も、上質を目指さなければいけないのだと知って、当時は大変に驚いた。

営業マンのわたしが考える情報活用のあれこれ

しばし、食べ方から離れるが、ここで注目したいのが情報の活用法。

せっかく仕入れた情報を頭に入れ使いこなして人より抜きんでた結果を出すには、他人の体験やエピソードを聞き、「それは○○さんだからできることで自分には無理だ」と思うか、反対に「そうか!これはいけそう!」と感じすぐ行動するか、の対応の違いで変わってくるんじゃないだろうか。

ここで重要なのが「脳が常にできる理由」を考えているということだ。「できない理由」を考えるのは割合簡単で、まだ始動していなければ始めに戻れる。

しかし、これではダイエットなど個人の目標も叶わない。「叶えたいことを叶え、思いどおりの成果を上げるための頭の使い方」がポイントだといつも実感している。

これからも、上質な栄養を取り入れ、有益な情報を仕入れて、自分サイズにカスタマイズし、積極的に生きていこう。

最後にハーバード式「最強のスープ」のレシピを紹介する。

4つの野菜(キャベツ・玉ねぎ・にんじん・かぼちゃ)のスープでがん予防になる!作り方は題名下リンク先へどうぞ。




問題解決の方法は3つのスパンで~10分後・10か月後・10年後どうなっていたいか【書評・ワークスタイル】

【ブログ更新95回目】

コロナ明けの6月~7月、まだまだ訪問可能になっていない客先に渋々しながら、こちらもコロナ感染の危険を感じながら毎日営業に出ていた。

そんな、少し鬱々とした気分をさっぱりと上げてくれたのは、大好きなビジネス本や雑誌の類。

中でも粋なしかけだと感じた雑誌が、PRESIDENT週刊東京経済などだ。近年、雑誌が売れなくなり厳しい昨今だが、渾身の取材編集が光る内容。もちろん即買いした。

まさに新しい仕事のしかた新しい教養など、今すぐに仕事の現場で使える各社しのぎを削る記事構成に唸る。

13日からの夏休み後半には、この雑誌だけでなく、今再びの大注目株、池井戸潤氏の「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」とドラマ半沢直樹の原作も読む。

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池井戸潤氏の小説は、ビジネス本としてダイヤモンド社から出版されてる。ソフトカバーで読みやすい。実は文庫も検討したが、もう目が付いていけない(泣)

こうして、夏休みはどっぷりとビジネス思考を鍛えよう。遊びも仕事も学びもどれもこれも大事だもの。

            ★ ★ ★

さて、以前、ブログで紹介した、10-10-10 ~人生に迷ったら3つのスパンで決めなさい!」スージー・ウェルチ(著)が、再び注目されてきたので、こちらも登場させた。

スージーは、ワークライフバランスともいうべき、独特な時間の感覚を自身が持っていることにある日気がつく。

人生のあらゆる問題を解決するには、すべてを10という時間の概念で解決する!と決めて動き出した。

長年のワーキングマザーの直感だ。その結果、随所に時間のスパンを使って行動することで、満足の行く結果がどんどん身の回りに起こってきたのだ。

これは使える!と書籍での啓蒙に進む。そして、スージーの持つ時間の概念を10-10-10という書籍の中にすべて書き表した。

10-10-10 の基本的な考え方はこうだ。

3つのスパンとは

① 今すぐに出る結果(10分後)

② 近い将来に出る結果(10か月後)

③ 遠い将来に出る結果(10年後)

この3つの時間スパンを利用して、人生で迷った時や、ものごとの立て直しを迫られた時に「これまでとは違う方法で決断する」ことが可能になると言う。

さらには、3つの時間スパンを使ってじっくり考えることによって、先を見通すことができるという提案の一書なのだ。

では、本書のブックレビューをしよう。

10-10-10 人生に迷ったら、3つのスパンで決めなさい!

全米で瞬く間にベストセラーに輝いた本の紹介。仕事、夢、結婚、家族、友情・・・人生に迷った時「決める力」が必要。それが身に着く本。

10-10-10は発売まもなく「ニューヨーク・タイムズ」「ウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラーリストにランクインし、テレビ番組でも特集が組まれるなど、大反響を巻き起こした。

紙と1本のペンさえあれば、今すぐに、この10-10-10 は試せる。書き出してみるのは、今一番解決したいことだ。そしてこう、自分に向かって質問をする。

□「10分後(今)はどうなっている?」
□「10ヶ月後(ちょっと先)は?」
□「10年後(未来)は?」
この質問に答えたらOK。

短期(10分と表現)中期(10か月と表現)長期(10年と表現)この3つの視点を使って、後悔しない人生のあらゆる決断ができるのだ。

さらに、もっと簡単に言えば、「ぐずぐず思い悩むクセ」「優柔不断」「チャンスを掴めず逃す」こんな不幸なパターンをぐるっと変える思考が持てると提案されている。

■実話に基づく、10-10-10エピソード満載!

[文中より]もう、うんざりの職場。辞めてしまえば10分後はスッキリ。でも、10ヶ月後に後悔しない?10年後、お金は大丈夫? その選択が正しかったと、本当に言える?10-10-10で考えよう。


大事な取引先とのアポ当日、田舎の親が病気に!どう決断をすべきか、10-10-10で考えよう。たった3分集中するだけで、正解が見えてくる。


結婚の見込みがなさそうな彼と、続ける? 別れる? 別れたとき、続けたときのメリット&デメリットは、10-10-10が教えてくれる。

● 経営の神様、ジャック・ウェルチの公私にわたるパートナーの人生とは?
著者スージー・ウェルチは、ジャーナリストであり、四人の子供の母であり、40代で経営の神様、ジャック・ウェルチと運命を変える出会いをした魅力あふれる女性。


アメリカでは、女性としての幸せを模索するアラフォーたち、働く女性、ワーキングマザーの共感の声が続々届いた。


スージーの言葉

優柔不断で決められないあなた。
たくさんのものを、抱えすぎているあなた。
人生を立て直すには、これまでと違うやり方で、決断しなくてはいけません。
心の奥底の価値観にしたがって、選択しなくてはいけません。

「女性の品格」坂東眞理子・著~何度でも読み返し行動を促す~超ベストセラーを紹介【文化・選書】

女性の品格

これまで、3度読み返してきた女性の品格(著)坂東眞理子氏の超ベストセラーの紹介をする。

この品格という言葉は、この書籍が出版された2006年の流行語大賞を受賞した。そこから本書は現在までで、なんと、300万冊を超え売れ続ける名著となった。

タイトル付けが絶妙だ。女性の・・・と付ければ、女性が新しく何か起こそうとする時に決まってぶち当たる、作法や礼儀、様々な接遇に関することが書かれていると、自然と頭に浮かぶお役立ち書だとわかるものだ。

3度読み返してみて気づいたことは、この書籍の内容は、本来女性だけが独占すべきものではなく、男女の境を持たず、いかに人として気持ちよく生きて行けるかというテーマを元に書かれた生き方指南の向きが大きい。

本書は、ビジネスの観点から大事な「話し方」「装い方」「対人・恋愛」に至るまで、あくまでも女性の性を基本において、娘世代にわかりやすく指南されているのが特徴だ。

具体的なアドバイスとしては、「お礼状が書ける」「約束を守る」「型どおりの挨拶ができる」といった教えは、営業マンのわたしが最も重要だと思い、手帳にメモった記憶がある。

こうした普段の行動が人との距離を縮め、信頼をうむのだと実感している。

もくじ

はじめに~凛とした女性に

第一章 マナーと品格

第二章 品格のある言葉と話し方

第三章 品格ある装い

第四章 品格のある暮らし

第五章 品格ある人間関係

第六章 品格ある行動

第七章 品格のある生き方

あとがき~強く優しく美しく、そして賢く

以上だ。発刊が2006年と若干古いので、取り上げている現場の内容にズレもあるが、おおすじ、言われる通りじゃないかと感じる。

わたしは、この本を読んで、花の名前を覚えることや古典に親しむこと、日本古来の行事を大切にすることなどを、生活に取り入れてきた。今ではなくてはならない大切な習慣となっている。

ベストセラーとなる名書には、こういった、何度も読み返すだけの価値が深い作品が多い。

現在、女子大学学長でもある坂東眞理子氏。現代女性が生きるために大切な品格を見事に表現されている。

第三章 装いの章では、見かけだけで無く心持ちもキチンとする事が大事だと。

また、第五章 人との関係を良好にする行動や考え方は大いに共感した。群れない見下さない感謝の意を表す愛されるよりも愛す権利を振りかざさない

一見簡単そうに見えてもわたしにはなかなか難しいことばかりだ。

※ 品格と言えばこの人、オードリー・ヘップバーン。彼女の名言をまとめたサイトはこちら→https://matome.naver.jp/odai/2141440901775820801

さて、ここで、以前のブログで書いた「作法とこころ」を載せる。

 「作法とこころ」

おもてなし

 ~きれいなご挨拶はするほうもされるほうも嬉しいもの~


「でも、人って、話しあってるとき、本当の気持ちは決して口に出さないね。みんな、気持ちと違うことを言うのに、聞く方は本当の気持ちを察してやらないとならないんだよ。」             映画 イミテーション・ゲーム(エニグマと天才数学者の秘密)より

たった一度のお辞儀で、人の心を捉える・・・そんな場面に出くわしたことがある。
その女性は仕事先の所長をされていた40代の独身女性で、正月あけの仕事初めにご挨拶に伺った時のことだ。

お決まりの新年の挨拶をした私に対して、80度の美しいお辞儀を深々とされてから、ゆっくりとだが、しっかりとこちらの目を見つめて、「今年もどうぞ宜しくおねがいいたします」 と言われた。

その間数秒だったが、一生忘れられない丁寧で美しいお辞儀を下さった方だった。

人を大切にすること、思いやることは何も難しいことではないのだと思う。謙虚な気持ちや振る舞いを、言葉や仕草で表現する。

基本は、「人さまにとって見苦しくない」 ように立ち振舞うことだと考える。つくづく、余韻の残る女性になれたらなあ と感じるこの頃である。

思いやりと優しさで忘れられない女性がもう一人いる。私の初めてのピアノの先生だ。

6歳でピアノをはじめた時、近所に先生はいなくて、親戚のそばにあるお教室をおばに紹介してもらった。

バスに乗って15分ほど行ったところだった。先生は、ちょっと太めだが笑顔が素晴らしく、オペラ歌手だったので声も素敵だった。

レッスンはきびしかったが、終わるといつもソファに一緒にすわり、バスの時間までお話をしたり、暑い夏には冷たいジュースを用意してくれ、いつも必ずドアの外までお見送りをしてくださる、それはそれは、優しい先生だった。

私もいつか先生みたいになりたいと憧れて、一生懸命ピアノに通った思い出がある。

 最近、「松平家 こころの作法を読んだ。作法のこころとは、正しいと思う物差しを自分の中の軸とすることである。

こころに自分の軸を持っている人は、いざという時に強い。こう生きるという信念、守りたい人やもの、誰にも攻め込まれまいとする強い心が 「自分軸」 なのである。

自分軸」を持つと、どんなに辛い状況にあっても ”踏ん張れる力” が湧いてくる。「自分はこういう人生を生きたい」「ここまでは許せるけれど、ここからは譲れない」 という自分の城をつくって自分を守るのだ。

今、豊かで便利な時代になったからこそ、礼節と作法の大切さをひしひしと感じている。

丁寧な言葉づかいや謙虚な振る舞いは自分を鍛え、幅のある人生を送ることができる唯一の武器ではないかと思う。

さりげなく、清々としていて、美しい言葉、思いやりのある振る舞いが自然と出てくるようになりたいものである。きっとそんな場面で普通に振る舞えたら、手にはとれないけど最高の宝物が手に入った瞬間なのだろう。

★2024年7月22日更新 自己啓発のやり方~思考チャンネルを変えれば飛躍的に考え方は改善される 【書評・自己啓発】

今回の選書はこれまで、3度、再読してきた2冊の自己啓発系ビジネス本を元に思考のビルドアップ(自前で考えたWord)を狙い、体系立てて紹介する。今年もすでに半年があっという間に過ぎてしまった。

しまった・・・というのは、新型コロナウイルス感染という前代未聞の疫病に全世界が振り回されているからだ。しかも、この夏、第2波の恐れも出てきた。まだまだ、まったく油断はできない。

そんな中、経済もしっかりと回さなければならないし、こんな世相だからキッチリと人生設計をして行きたいと、右往左往する人も多いことだろう。

不安な気持ちを払拭するには、ビジネス本を読んでみることをお勧めする。ビジネス本には、トップ経営者や学者や様々な分野の専門家が汗水たらして得た、最良な生き方、仕事術などどこを取っても学ぶべき内容の詰まった宝庫だからだ。

で、今回は思考をビルドアップさせる2冊の自己啓発・ビジネス書籍を紹介する。

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エッセンシャル思考 ~最少の時間で成果を最大にする~ 著;グレッグ・マキュー かんき出版

簡単にレビューすると・・・エッセンシャル思考の秘密は「今、何が重要か」を考え、自分で優先順位を決め成果を生まない努力をやめることだ。

エッセンシャル思考とは、まさにより少なく、しかしより良くを追求する生き方だ。
ときどき思い出したようにやるだけでは、エッセンシャル思考とは言えない。


今、自分は正しいことに力を注いでいるか?と絶えず問いつづけるのが、エッセンシャル思考の生き方である。


エッセ ンシャル思考を学べば、玉石混交のなかから、本質的なことだけを見分けらるようになる。

向上心はときに絶えざるプレッシャーとなってあなたを襲う。あれもこれも試したい、いいことは全部生活に取り入れたい。

だが、そんなやり方では人は進歩できない。何事も中途半端に終わるのがオチだ。この苦境を抜け出すための鍵は、人生を本質要素だけに絞り込むこと。

エッセンシャル思考 本書は、自分にとっての本質的要素を見つけ出す手がかりとなる。

※ここで重要な思考となる、エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考の違いを述べておく。

どんなに辛くても苦しくても、与えられた仕事をやらなければいけない・・・と、考えるビジネスマンが大半だろう。

一方、できないことをできないと言うことや、時間的に無理なことを理論的に論破して不利だと思える要求に対してはキッチリと断る、こんなある意味自己中心的なビジネスマンもわずかだが存在している。

これは、すべて受け入れてしまう不毛なやり方が辞められないビジネスマンは非エッセンシャル思考の持ち主で、ただちに改めていかなければ己の首がどんどん締まっていくだけだ。

反対に、勇気のいることだが、きちんと理論的に断ることができるビジネススキルを武器として持つビジネスマンだったら、エッセンシャル思考を持つ有益な人材なのだ。

ここで言えることは、賢く生きる者は、不要なものを排除するのだということである。

そこから、自分ならではのオリジナリティの創出に最大限に大事な時間を割こう。そのために本書は大いに役立つだろう。

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「 3か月」の使い方で人生は変わる Googleで学び、シェア№1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」著;佐々木大輔 日本実業出版社

この本の要旨を簡単に述べると・・・「3ヵ月」は確実に変化を起こせる最小単位。3ヵ月間、「今まで本気で取り組んだことのないテーマ」に取り組む。

時間術やタイムマネージメントと言えば、できるだけ短縮した濃密な時間で仕事を処理するための効率第一のテクニックをイメージするだろう。

しかし、この書籍では、巷に溢れる効率を求めた時間術やいわゆるタイムマネージメントとは一線を画した、ルーティン(定型業務)の効率をアップし、「非効率的なこと」いわゆる企画など、クリエイティブなことがらに時間や情熱を注ぐことをゴールに据えてる。

2冊の目指す思考のビルドアップとは

エッセンシャル思考で学んだ、無駄・無理を省く最強の効率化で得た時間を、この3ヵ月ルールに則って、かつてない本気で取り組めるテーマに取り組もう、というビルドアップ提案だ。

思考のビルドアップ=構築はこうして、様々な角度から攻めてゆくのがいい。

今回、わたしは自分の強みである最も詳しい書籍の積み上げでビルドアップを図る提案をしてみた。

※ エッセンシャル思考から学べること・・・生活の無駄・無理を見直し、最適な時間を得る。

※ 「3か月」の使い方で人生は変わるから学べること・・・人生は100日で変えられると唱える。本気で挑戦する意欲や勇気が湧く本である。

2冊から得られるもの

時間という不思議な概念は、自分の頭の中でいくらでも作り出せるもの。だったら、今まで本気で取り組まなかったことを軸に己の目を開眼させるべきだ。

3か月単位でひとつのことに集中して取り組む・・・これは、趣味からはじめる小さな仕事にはピッタリの思考じゃないだろうか。

わたしも本書を元に思考のビルドアップを実践、小さな起業を始めているが、毎日わずかでも収益が出て、やりがいを感じる3か月となった。今、この3か月を振り返ってひとり、お疲れ様をしている最中だ。

まずは、一周してみる。回りが走り続ける中、緩急を3か月ごとに迎えて、新陳代謝する。一歩立ち止まるのもおつなものだ。

今日、久しぶりに借りた本

★2024年7月19日更新 スティル・ライフ ~自分の生き方に暗中模索する「ぼく」と、すでに生き方を掴んだ「佐々井」の物語 【書評・文化・中編小説】

スティル・ライフ

はじめに

毎年、6月~7月、わたしは短編小説を書いている。一昨年は「植物図鑑の扱い方」なる短編、昨年は「三か月であることを実行し達成する到達点」やはり短編を書いた。(未発表)

わたしの書く小説のほとんどは短編小説だ。大量のブックレビューを書いた経験から推測すると、現在、小説の需要はとても限られていて、ほとんどがあまり知られていない作家の作品ばかリ。しかも、未だに小説といえば長編が横行する閉じられた世界観なのだ。

無事に発売までこぎつけた作品でも、書店等で長編小説を読者が手に取り、購入し、最後まで読んで頂くのはかなり難しい分野になっているのが実情だ。

有名大家の作品こそ、大々的にリリースされ、書店頭にもど~んと平積みされるが、今ではそういった作家も村上春樹氏ぐらいかもしれない。

村上春樹氏6年ぶりの短編小説が昨日発刊されたばかり。そうか・・・時はやはり短編に向いてきたか、と。わたしは自分の狙いがちょっとだけ当たった感を持ってほくそ笑んだのだ。

さて、今年も芥川賞の発表があったばかり。毎年綺羅星のごとく舞う新人作家の作品を真っ先に手に取る楽しみは計り知れない。そんな中、歴代ベストセラーで、わたしの最もおすすめする芥川賞作品の紹介をする。

スティル・ライフだ。作者は池澤夏樹氏。第98回芥川賞受賞作品である。この中編小説はこれまで2回読んでいたが、3回目を昨日の午後、一気に読み通した。この一気に読ませる、読者を物語の森に誘い出す上手さに舌を巻いた。

※スティル・ライフ導入から

~この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを受け入れる容器ではない~中略~大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ一つの世界の呼応と調和をはかることだ。

たとえば、星を見るとかして。

【スティル・ライフ・物語の背景】

● 登場人物は主人公「ぼく」と「ぼく」が圧倒された生き様を持つ年上の「佐々井」のふたりだけ

「ぼく」に「佐々井」という年上の男が持ちかけた、ある壮大な計画というか仕事。それは三か月間で達成する予定だ。

「ぼく」は宇宙や微粒子に詳しい魅力的な「佐々井」の申し出を、一つ返事で受ける。そこから「ぼく」の人生の経験が積まれてゆく。ただ、三か月という時間はとても短い。

※「佐々井」が「ぼく」に持ちかけた、ある壮大な計画が物語のすべてである。

ある日、「ぼく」の前に「佐々井」が現われてから、ぼくの世界を見る視線は変わって行った。

「ぼく」は彼が語る宇宙や微粒子の話に熱中する。「佐々井」が消えるように去ったあとも、「ぼく」は彼を、遥か彼方に光る微小な天体のように感じるのだ。

科学と文学の新しい親和を感じた部分だ。「佐々井」という男がバーで飲むウイスキーの氷の光の中から、数万回に一回の確率で現れる光を見つけようとしている姿は、きっと男性だったら、真似したくなるスタイルだ。

「ぼく」という主人公が探しているものは

※ 常々、「ぼく」が感じていたことを文中より拾う。

~寿命が千年ないのに、ぼくは何から手をつけていいのかわからなかった。

何をすればいいのだろう。仮に、とりあえず、今のところは、しばらくの間は、アルバイトでもして様子を見る。そういうことだ。

十年先に何をやっているかを今すぐに決めろというのはずいぶん理不尽な要求だと思って、「ぼく」は何も決めなかった~文中より

この物語は青春小説などではなく、社会派小説と言えるのではないか~それは佐々井の持つ壮大な計画から読み取ることができる

自分の生き方にある種の諦めを感じながらも、若者らしく飄々と振舞う「ぼく」と天涯孤独で星や宇宙や山を愛する「佐々井」という年上の男。

彼らが出会う場所は、染色工場だ。作業要員として扱われ、それでもそんな仕事に若干のやりがいを見出す「ぼく」。

そして、染色工場を辞めてしばらくして現れた「佐々井」。「ぼく」に手伝ってほしいと頼まれた、ある壮大な計画。

この物語の最大の山場は、このある壮大な計画を「佐々井」が「ぼく」に告白し、淡々と緻密な計算を元に「佐々井」の思惑通りに計画を達成させる場面だ。あまりにも静寂すぎて見事な光景が文中に広がる。

※ 壮大な計画のキーワード・・・公的横領 株式投資 時効 この3点。

読後感を語る

わたしが最初に読んだ当時は気づかなかった部分が、「佐々井」という男の生活スタイルだ。究極のミニマリスト。持ち物は登山用のナップザック2個。計画のために必要なPCは買ってからタクシーで運ぶ。

友達はいない。銀行口座は持たない。所定の場所に長く住まない。要するに今でいうノマドライフの実践者にどことなく似ている。

著者の池澤夏樹氏は、遥か先数十年後を見据えて「佐々井」という男を生み出したとしか思えない。

芥川賞作品を最後まで読んだことがない人におすすめの一作だ。どんなに素晴らしい賞を取った作品でも、あまりに長い長編とか、小難しい表現、言いたいことを煙に巻く文章が過ぎる作品は、最後まで読み切れないものだから。

どうぞ、「ぼく」と「佐々井」のある壮大な計画と三か月を一緒に体感してみて。

そして、たまに星を見るとかして・・・。