『作家の収支』森 博嗣・著(幻冬舎新書)~作家の収入を知るとっておきの書籍紹介&私的メディアを仕事と考える、このブログの話も書いた🎶【選書・文化/旧記事更新109】

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作家の収支』森 博嗣・著(幻冬舎新書)

簡単レビュー(本人のコラムより)

1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。

ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である――総発行部数1400万部、総収入15億円。

人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。

                 ★★★

夏休み明けにぴったりの作家の収益に関する書籍の紹介をした。

『作家の収支』は2015年発刊で、当時わたしは、見様見真似で私的ブログを立ち上げたばかり、きっと役に立つだろうと購入し貪り読んだ。

ここから本題。ブログの話をしよう。

突然、ブログをやってみたくなった。50代前半のことだった。

これからの人生後半は、しぶとく仕事を続けながら、その一切を私的ブログにエッセイとして書いて行こう!と決めて、すぐに始めた。

もちろん、ログというわけだから、毎日の日記をつけてみようかな?とか思ったんだけど、「そんなの誰が読むの?」と、軽い疑問が湧いたことを今でも鮮明に覚えている。

折しも、自分で決めたルール(週3日投稿、テーマは5つ、1000文字、TOPは自前写真)と、公開するにあたり、読者の方々が読みやすいように文体を整えるなど、稚拙ではあるがざっくりと決めてエッセイを執筆しはじめた。

なぜ、たんなるブログサービス(無料)を介してSNS上に投稿する記事ぐらいの文章にも「執筆」という言葉を使うのか?

それは、わたしのブログに対する考え方に起因している。

わたしは、当初から「ブログを毎日の日記がわりには書かない」と決めていた。

また、ブログを文章オタクの遊び場だとも考えていなかった。

簡単に言えば、ブログを書く行為を「仕事」ととして捉えてきたのだ。

適当に書いたりせず、しっかりと編集し情報は下調べをして、丁寧に書く。

途中で放り出したり、辞めてしまうことはまったく考えずに今日に至る。

と、こんな感じで仕事として、ブログエッセイを書き始めて、来年で満10年を迎える。

その間に、小さな出版社からお声をかけて頂き、2冊の書き下ろしを商業出版させて頂いた。現在でも毎月、細々と数冊~数十冊売れている。

出版元の売上げ速報が毎月送られてくるから、その時に月間売上げを知り、ある程度金額がまとまったら、わずかな印税を粛々と振り込んで頂いている。

そして印税の話。たとえ1冊も売れなくても作家には印税が出版社から支払われる。

ただし、この場合はハードカバーなどの商業出版で印税は全額先渡し。

ちなみに、電子書籍は売れた分だけ毎回支払い。『作家の収支』に詳しく書かれているよ。

わたしは2冊とも電子書籍で出した。(無名&受賞歴ない作家には、現物在庫のない電子書籍が有利)

紀伊国屋などの大型店のWEB書店内、ヤフー、Amazon、楽天などのWEB書店で購入できる。

また、購入者がオーダーメイドを希望すると、若干高くはなるが、紙製のペイパーバッグが手に入る仕組みを利用している。

よって、出版物の在庫はない。(ここ重要・出版社にも作家にもWinWinの在庫0)で、ずっと売って頂く(笑)

そして、2冊の著作には、私個人の持ち出しはない。(すべてWEB完結。0円制作)

              ー-------

『作家の収支』には、新聞連載なら1回15000円ぐらいなど、森氏の経験値から収益が書かれていた。

小説とエッセイでは、原稿料(無名では1本50万円ぐらい)は同じだとも!これには驚きだった。

(出版不況の今では当時とは違い、原稿料のふり幅は相当だと推測するが、2015年当時だと割り切って読むと作家の懐具合が知れて面白い)

まだ、ブログで毎回1000文字をやっと書いていた頃、『作家の収支』を読み「小説とエッセイの原稿料が同じだったら、わたしはエッセイを書く仕事をしよう!」と、方向性が決まったことも懐かしく思いだした。

後に、自分メディアとしての位置づけ決定版、Googleアドセンスの権利を取得、書籍の収益だけでなく、ブログ本体の広告収入もわずかだが得られるようになった。

ブログはWordpressで構築。

毎年のサーバー代、ドメイン代、Wordpress導入の解説書籍代も、すべて著作の印税で賄っている。

持ち出しのない、循環型執筆生活がブログのおかげで叶った。

書くことに慣れ、楽しんで執筆という仕事を続けてきた背景には、常に「テーマ」を持った内容でネタが尽きない仕組みづくりと、語りかけるような書き出しで安心感を持ちやすい平易な文章、そして決め手は「妬み・謗り・諂い」を一切書かない!と決めたことが一番の要因だ。

そして、10年を迎える今、これまで以上に重要なのは「常に新しいことがら」「新らしさ」への追求をしていくことだ。

ブログという「現代の瓦版」は真の私的メディアだろう。

そこでは「どう書くか?」ではなく、どんどん「書く」のだと。1冊の書籍を書き上げるのとは、まったく違う観点だ。

自分の勘所に自信を持って、自由闊達であり続ける。

そして、「正しさ」「美しさ」を忘れず日々前進する。

あとは、見えない部分だが「勤勉」を自分に課すのが大切かと。

というわけで、「ブログを仕事として運営・執筆している」という話を書いてみた。

※ この10年間、3つのブログサービスで執筆してきた。これまでの読者数は総読者数3万人ぐらい。記事1本では200人前後。読者の国は1位日本・2位アメリカ・3位カナダと続く。(だいたい読者数の目標を立てていない・笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年8月19日記事

『SunTAMA Style』2022年8月19日記事

『SunTAMA Style』2023年8月19日記事

『Life Tour21 st』2016年8月19日記事

Vacannsを楽しむ余裕を!

『みいこStyle』2019年8月19日記事

今日から実践!貯まる小さな習慣とは

『シェニール織とか、黄肉のメロンとか、』江國香織・著(角川春樹事務所【選書・文化/旧記事更新105】

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シェニール織とか、黄肉のメロンとか、』江國香織・著(角川春樹事務所

簡単レビュー

かつての「三人娘」が織りなす幸福な食卓と友情と人生に乾杯!

作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。
そして彼女たちをとりまく人々の楽しく切実な日常を濃やかに描く、愛おしさに満ち満ちた物語。
江國香織〝心が躍る〟熱望の長編小説。

「会わずにいるあいだ、それぞれ全然べつな生活を送っているのに。会うとたちまち昔の空気に戻る」

女友だちとの再会って、決まってそうなんだ。

作家の民子は、母の薫と静かなふたり暮らし。
そこに、大学からの友人・理枝が、イギリスでの仕事を辞めて帰国し、家が見つかるまで居候させてほしいとやってきた。


民子と理枝と早希(夫とふたりの息子がいる主婦)は、学生時代「三人娘」と呼ばれていた大の仲良し。


早速、三人で西麻布のビストロで、再会を祝しておいしい料理とワインを堪能しながら、おしゃべりに花が咲いて。

話の顛末は作品でお楽しみいただきたい。

                ★★★

初めて、江國香織作品を読むのにおすすめはこれ。

冷静と情熱のあいだ Rosso』角川文庫

はじめて江國香織の作品を読むなら、映像化作品をチェック

出典:paypaymall.yahoo.co.jp

江國香織の作品を選ぶ際は、最初に映像化作品をチェックするのがベター。

映像化されている作品は、どれも人気がある小説ばかり。

辻仁成とのコラボレーションが話題となった「冷静と情熱のあいだ」の他、「東京タワー」「間宮兄弟」「神様のボート」などが映画・ドラマ化されている。

また、最初に映画・ドラマを観てから、読みたい小説を探すのもおすすめ。江國香織の空気感がしっかりと映像で再現されているので、お好みの小説を探しやすい。特にはじめての方には、江國香織の世界観をつかむきっかけになるだろう。

江國香織は、その世界観と繊細な描写が評価され、多数の作品で文学賞を受賞している。

例えば、生々しい恋愛を描く「号泣する準備はできていた」「きらきらひかる」や、温かさを感じさせる「こうばしい日々」ファンタジックな「ぼくの小鳥ちゃん」など。

文章の表現は、どの作品も実に読みやすく、まずすらすらと読める。

難解な表現もなく、どこか「オシャレ感の漂う素敵な女性になりたい!」と願う少女のような感覚だと感じる。

まさしく、シェニール織のハンカチで少しの汗を拭く、夏の午後にピッタリの小説をセレクトしてみた。

女の集まる話はどこか生生しくて、それでいて面白くて、結局小説のネタというか、作品にまで昇華しちゃうのね(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年8月9日記事

『SunTAMA Style』2022年8月9日記事

『Life Tour 21st』2016年8月9日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1060013238.html 「レガシー(古臭く)にならないようデザイン力を磨く」

『NHKにっぽん百低山 吉田類の愛する低山30二合目』吉田類・著(NHK出版)~夏旅のこぼれ話もあり【選書・文化/旧記事更新101】

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NHKにっぽん百低山 吉田類の愛する低山30二合目』吉田類・著(NHK出版)

簡単レビュー

6月に出たばかりの新刊をレビューする。

酒場詩人・吉田類とふたたびの誌上登山。低山の物語を味わいつくす

吉田類が全国の低山をめぐる、NHKの人気番組「にっぽん百低山」。

昨年発行した書籍化の第1弾の好評に応え、この度「二合目」をお送りする。

類さん自らが「まだまだ登ってほしい」30座をセレクトし、読者を「誌上登山」にお誘いする登らなくても見て読んで楽しい一書だ。

低山の魅力はなんといっても「地域の人々の生活と密着している」ところ。

30座それぞれの山と人々が紡ぐ物語を辿る素敵な書籍となっている。

可憐な草花、ときに険しい岩場、そして山頂からの絶景を豊富なビジュアルでお届け。

もちろん下山後にぜひ行きたい地元の名店もくわしくご紹介! 大内征(低山ライター)、中沢新一(文化人類学者)と吉田類の特別対談も収載。

読むだけでも楽しめる画期的な登山ガイド第2弾。

                ★★★

先週、夏山旅から帰ってきて、まだまだ旅の魅力を書き切れていないことに気がついた。

まず、山では想像できない場面に出くわすことがある。

今回は群馬の山(御巣鷹尾根)から長野県佐久市の山(荒船山)に出るドライブを慣行した。

荒船山とは?

群馬県甘楽郡下仁田町と長野県佐久市に跨る標高1,423 mの山である。妙義荒船佐久高原国定公園に属している。日本二百名山のひとつ。

実は、荒船山だとは知らずに山中をひたすら走ること2時間あまり。遠くに見えていた不思議な断崖絶壁の様相。

夫が現在地をアプリで調べたところ「荒船山」を横断している・・・ということが分かったのだ。

この森では、野生の鹿に出くわしたり、目の前をリスやたぬき?みたいな小動物が走り去る場面に多数遭遇した。

また、驚いたことにこの山を下りた場所にあった看板に「日本で1番海から遠い場所」との案内があった。

佐久市と群馬県南牧村との県境付近に位置し、「雨川ダム」の南東約2,200mの尾根近くの地点が「日本の海岸線から一番遠い地点」

平成8年(1996年)に国土地理院の調査により特定された。 この地点は標高約1200mの山中にあり、海岸線まで約115kmの地点となるそうだ。

雨川ダムの写真も一枚撮ってきたので載せておく。

というわけで、こんな山中ドライブ旅をしてきた!というこぼれ話を書いて旅を〆たいと思う。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月31日記事

『SunTAMA Style』2021年7月31日記事

『SunTAMA Style』2022年7月31日記事

『Life Tour21st』2015年7月31日記事

富山・金沢アート旅

『現代病「集中できない」を知力に変える 「読む力」最新スキル大全: 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!』佐々木俊尚・著(東洋経済新聞社)【選書・自己啓発/旧記事更新95】

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現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全: 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す! 佐々木俊尚・著(東洋経済)

ロングレビュー(後半で著者の生い立ちを読後感とともに書いた)

遂に出た感のある一書だ。 書籍・ネット・SNS・ニュース・有料メディアなど「読み方の最新全スキル」が1冊になった


「5分の集中」を重ねるだけで読む力を積み上げる。スマホで「気が散る」時代の「全く新しい読み方」を初公開する。


読めば、断片的な知識・情報を知肉に変えて、さらに思考力につなげる秘訣がわかる。

無意識を武器にして、新しいアイデアが思いつきやすいコツまで教えてくれていたのには軽い驚きを覚えた。
「本物の思考力」と「新しい発想力」が同時に身につく! こんな本が欲しかったと、瞬く間にベストセラー入りした。

巻頭カラーの20ページが圧巻。
著者の本棚の画像が面白い。「2000冊の仕事場の書棚」から「アイフォンのアプリ全一覧」まで、写真で公開
ここだけ見ても面白い。

「読む力」「考える力」「書く力」「アイデアの技術」
究極のメソッドが全部わかる最強の名書だ。

この本で、スマホ時代に必要な新しい読み方を身につけ、頭脳と人生を、一気に変えよう!

本書で身につく「読む力」「考える力」「アウトプット」のスキル例を紹介しよう。

もくじ
【ネット記事】毎日「400のサイト」「1000の見出し」に目を通す方法
【ニュース】自分の頭で「深く読み解く」3つのステップ
【SNS】これぞプロ! 「ツイッター」のスゴい使い方、「LINE」の注意点
【書籍】「知を立体化」する! 難しい本も読める「メモアプリ」読書術
【リアル書店】「書店員の目利き力+本棚の文脈」で、「いい本」に出会う
【情報整理】「2つの保存」を使い分け、集めた知識を「知肉」を変える★【アウトプット】アイデアを思いつく秘訣、文章の書き方、メモの作り方
【ツール】「雑務を徹底的に効率化する」最強アプリはこれだ

はじめに・・・3つの質問

本書を書こうと思った3つの質問と動機がある。まずはそこから説明したい。

Q1 佐々木さんは、あの信じられないぐらい幅広い分野の情報を、どうやって集めているんですか?

A わたしはツイッターとフェイスブックで、毎朝8時に10本ぐらいのさまざまな記事を紹介している。
毎日、およそ1000本くらいの記事の見出しに目を通し、それをありとあらゆるスキマ時間を使ってチェックしている。当然、玉石混淆なわけだが、そこから「玉の記事」を見つけ出し、みなさんに無料でシェアしている。
2010年の終わりぐらいから始めた毎朝の恒例行事で、ほとんど一日も休まずに10年以上も続けている。
その「ノウハウ」を人に教えてあげると、「そんな読み方があるんですね! 」「記事の読み方が革命的に変わりました」と感謝されることも、じつに多い。
そこでわたしが実践している「読む力」の最新ノウハウを、すべて1冊にまとめて多くの読者に体得してもらえれば、と考えたのが、本書を書こうと思った最初の動機である。

Q2「最近、本を読んでいても、どうも集中できません…」「ついついスマホばかり見てしまいます…」「すぐに気が散ってしまい、用もないのに、スマホを触ってしまいます…。


そういう質問を受けたびに、「集中力なんて別に必要ないですよ」「そんなのがなくても、大量のインプットとアウトプットは可能ですよ」とはっきり答えているのだが、それにも驚かれることがほとんどだ。


なぜそう断言できるかといえば、わたし自身が「集中力のいらない読み方とアウトプット」を実践しているからである。
いまのスマホ時代には、「集中力が続かない」という前提に立った「新しい読み方」「新しいアウトプットのやり方」が必要なのだが、どうもそれにまだ気づいていない人が思いのほか多い。


集中力なんてなくても、「5分の短い集中」をうまく積み重れば、いくらだって書籍も記事も読めるし、それを「知力」に変えることはできる。
もちろん、「スマホを手放して、読書に打ち込む」という離れ技ができるなら、それを否定するわけではないが、いまの時代、もはやスマホを手放すのは、ほとんどの人にとって不可能である。

だったら、「気が散る」「集中できない」のがスマホ時代の宿痾、現代病だと受け入れ、それを逆活用すればいいだけの話である。
「気が散るスマホの時代にふさわしい読み方」ができれば、じつに多くのものを効率的に読めるし、アウトプットも十分に成し遂げられる。
その「集中力のいらない」インプット・アウトプット術も、本書で完全公開した。

Q3「どうやって、あんなにいろいろなアイデアを思いつくんですか?」「佐々木さんはよく『ハッとさせられる』発想やアイデアを書かれていますよね」

3つめは、わたしが書いてきた『キュレーションの時代』『レイヤー化する世界』『時間とテクノロジー』などの本を読んだ人たちから、「どうやって、あんなにいろいろなアイデアを思いつくんですか?」と聞かれることが多いからだ。
書いてきた本だけでなく、2008年から毎週必ず書いていて700号近くに達する「佐々木俊尚の未来地図レポート」という有料記事や、毎日のツイッターでのコメントなどを読んで、「佐々木さんはよく『ハッとさせられる』発想やアイデアを書かれていますよね」と褒めていただくことも多い。さまざまなメディアからインタビューを受けるときも、必ずその手の質問を受ける。
これらの質問に、思いきって全部答えてみようと思ったのが、3つめの動機である。


もちろん、「どんなときでも、必ずすごいアイデアが思いつくマニュアル」などというものは、残念ながら、この世に存在しない。
しかし、「斬新な発想」や「素晴らしいアイデア」を思いつくための「土台」をつくり、その確率を高めることは、誰にでも可能である。
大量の記事や書籍をどんどん読み、それを効率的に自分の「知力」に変えていくというのは、ある意味、「脳を超スピード化させていく」ということでもある。
それと同時に、「斬新な発想」や「素晴らしいアイデア」がふと思いつくような、脳を「クリエイティブな状態」にしておくコツも、じつはきちんと存在する。

・さまざまなものを効率的に読み、「知」を自分の中にストックしていくこと
・ストックした「知」を脳にうまく留めることで、「ふと新しいアイデアや発想を思いつきやすい状態」にしておくこと、その確率を高めること

本編で解説するように、この2つは、同時に達成できるどころか、本来は相乗効果があるものである。
わたしは試行錯誤しながらそのコツを見つけ、それを長く実践してきた。
その独自の方法も、本書の後半でたっぷり紹介した。

                ★★★

めちゃくちゃに仕事で忙しい中、時間をこじ開けるようにして、すべての情報や文章への接し方なる大全を読み込んだので早速レビューした。

まず、本書の情報量の多さに驚きとともにちょっとだけ「まとめられるかな?」と不安な気持ちにもなった。

しかし、著者の生い立ちとその壮絶な生きざまをサラッと書かれていたので、経緯がわかりレビューの柱をつかむこともできた。

彼の生い立ちとは、幼い頃には母親が離婚。新しい義父は、彼の本好きをことごとく嫌ったんだ。その理由は「早くから知識を詰め込んだ人間はろくな者にならない」と。本を買えないように、おこづかいも一切与えず。彼は小学校の図書館に居場所を求めて入りびたる。

そして、中学、高校と成長するのだが、高校時代に図書館通いがばれて、それも阻止された。家に監禁されてしまい登校もできなくなった。

が、驚くような事件が彼にふりかかる!それは、高校3年時に突然、義父と母が妹を連れて、失踪する。

そう、彼は捨てられたのだ。

しかし、彼はそこから、残された家と学校で思う存分に好きだった読書に没頭し、新聞配達で生計を立てて大学へも入学する。

そして、念願だった新聞社に入社する。

この壮絶な生い立ちの中で、たった1つの救いは母親の存在だった。影ではパートで得たお金で、そっと彼の生活費の工面をし、一人で苦学する息子を励まし続けた。とあった。

こんな、生い立ちを本当にサラっと書かれてて、こりゃあ、読むしかないでしょ?!と、腕まくりして読み切った(笑)

面白かったのは、「ドフトエフスキー 罪と罰」などの超・超大作を読む方法が書かれていた。そのノウハウは本書で読んでみて!

大作を読めるようになるって、かっこいいでしょ?!

「読む・書く・考える」のすべてが詰まった名著をぜひ、手に取ってみて。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月17日記事

『SunTAMA Style』2021年7月17日記事

『SunTAMA Style』2022年7月17日記事

『SunTAMA Style』2023年7月17日記事

『人生フルーツサンド 自分のきげんのつくろいかた』大平一枝・著(大和書房)【選書・文化/旧記事更新92】

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人生フルーツサンド 自分のきげんのつくろかた』大平一枝・著(大和書房)

簡単レビュー

お母ちゃんっぽい著者が紡ぎ出す、どこを読んでも心に沁みる最新エッセイ集!

自分をなだめる方法を知っている人は強い。
記念日じゃない日こそ大切だとも。

キラキラフルーツサンドを連想させるエッセイ集だ。

朝日新聞デジタル『東京の台所』が好きで、以前から大平さんの書く文章には一目を置いていた。本書の発刊を楽しみにしていた。


雄弁な著者の語り口にウキウキで読み始め、時折り、ホロリとしながあっという間に読了。

もくじ
おかんの空き瓶菟集の謎
あのときの空もきっと
朝七時のいなり寿司
玄関の涙
自分のきげんのとりかた
琉球ガラス工房にて
だいだい色のあの子
最後のギフト
グースカ。四文字の安らぎ
夏のあと、深呼吸ひとつ

                ★★★

4月に著者である大平一枝さんとスープ作家有賀薫さんのセミナーを聴いてきた。

その時、新刊と紹介されていた「人生はフルーツサンド 自分のきげんのつくろいかた」をやっと手に入れた。

猛暑でひーひー言いながらの今週、一気に読んだので早速レビューした。

『はじめに』の挨拶文にある、なぜタイトルにフルーツサンドを使ったのか?

著者のご近所に、それはそれは美味しいフルーツサンドを提供される喫茶店があるそうだ。

そこで頂く幸せの味と、ご自身のエッセイに書かれた実体験を重ね和せて、タイトルにしたいと連想された。

そして、キラキラした色とりどりのフルーツがぎゅう!っと、詰まっているようなフルーツサンドを思わせるエッセイ集が発刊された。

大平さんご自身もセミナーで言われていたが、いつまでも、キラキラした魅力的な方で居続けたいと思われてのことと想像する。

読み返した時に、その時の状態で好きなものが変わるだろうなと思う。まさに、色とりどりのフルーツサンド!

実は、わたしはフルーツサンドが苦手。それは、食パンと膨大な生クリーム、そこにジューシーな果物を挟む・・・想像しただけでお腹いっぱいになっちゃうから。

でも、今回、このエッセイを読んで、マスクメロンのフルーツサンドを食べたい!と初めて素直に思ったんだ。

さ、この夏、どこかの喫茶店でマスクメロンのフルーツサンドにありつけるか?

一応、検索した結果、立川駅ビル内にある「果実園」でランチメニューとしてあるらしいのでそこを攻めたい!

まず、標的を絞り込んで毎日をフルーツサンドのようにキラキラにさせるべし!

というわけで、書籍の紹介から、キラキラのフルーツサンドを食べに行く算段の話になっちゃった(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月10日記事

『SunTAMA Style』2021年7月10日記事

『SunTAMA Style』2022年7月10日記事

『SunTAMA Style』2023年7月10日記事

『Life Tour21st』2016年7月10日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1033651774.html 「小田原文学散歩

『独学のススメ 頑張らない「定年後」の学び方10ゕ条』若宮正子(世界最高齢プログラマー)著・中公新書ラクレ【選書・自己啓発/旧記事更新89】

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『独学のススメ 頑張らない「定年後」の学び方10ゕ条』若宮正子(世界最高齢プログラマー)著・中公新書ラクレ

簡単レビュー

「趣味がない」なんてしょんぼりしなくて大丈夫。「やりたいこと」の見つけ方、お教えします。


何歳からでも〝成長〟できます。定年後はますます楽しくなります。


定年後に「独学」でプログラミングを学び、世界最高齢のアプリ開発者として一躍有名人になった若宮氏。


英語のスピーチはグーグル翻訳で乗り切り、旅先で知り合った牧師さんの家を訪ねてみたり波乱万丈をことごとく好む自由気ままな84歳。


毎日を楽しく生きるコツは、頑張りすぎない「独学」にあったのだ。

もくじ

第1条 バンジージャンプじゃあるまいし、 こわがらずに飛び込んでみよう!
第2条 飽きたらやめちゃえ
第3条 「英語」は大阪人のノリで
第4条 ノルマを課しちゃダメ
第5条 「やりたいこと」の見つけ方、お教えします
第6条 ちょっと待った! 自分史を書くのはまだ早い
第7条 「将来」に備えない。10年経ったら世界は違う
第8条 退職してからのお友達の作り方
第9条 本から学ぼう
第10条 教えることは、学ぶこと

                 ★★★

若宮正子さん(当時82歳)が、アップルの世界大会に最高齢者プログラマーとして招待を受けた!というニュースをTVで観た時、衝撃が走ったのは今でも忘れてはいない。

81歳で、どうしても作りたかったアプリを独学で開発!

赤色が大好きで、赤いセーターを颯爽と着こなし、真っ赤な口紅をひいた正子氏の初々しいことったらない!

確かに見た目は完全におばあちゃんよね。でも頭の中身のフレキシビリティさは、いったいいくつなんだろう?って思うぐらい若々しい。

柔軟な思考、しなやかな感覚とでも言おうか。

とにかく、彼女のいうことには「頑固」なところがまったくないのよね。

おかしな正義感もないし。

だからこそ、前代未聞である80代にして大ブレイクしちゃったのかもしれない。

『独学のススメ』とってもゆるやかな読みやすい名書よ。

知らなかった言葉や方法も数多くあったし。(遺言は秘密証書遺言がいいとか、シニアは理科と現代社会を学び直そう!とか認知症の母をAI駆使して介護したとか・・・)

わたしはまだまだ定年は先だけれど、こういった未来性のある定年関連書籍はいろいろと読んでおいてレビューしていこうと思っている。

若宮正子氏の、ゆるやかにガツガツしなくたって、世界の頂点に立っちゃえた痛快な生き方指南の一書をぜひ、手に取ってみて!

では、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月3日記事

『SunTAMA Style』2021年7月3日記事

『SunTAMA Style』2022年7月3日記事

※ 『SunTAMA Style』2023年7月3日記事はなし。

『Life Tour21st』2015年7月3日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1033015323.htmlクラシックホテルを訪ねる

※ 旧記事本×2が削除不可(記事不完全)


 





 

『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』ビル・パーキンス・著(ダイヤモンド社)【選書・自己啓発/旧記事更新87】

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『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』ビル・パーキンス・著(ダイヤモンド社)

簡単レビュー

【39万部突破! 口コミで話題沸騰‼】
★2024年「読者が選ぶビジネス書グランプリ」ロングセラー賞受賞
★2024年上半期ベストセラー ベスト10入り(ビジネス単行本/日販・トーハン調べ)
★「カズレーザーと学ぶ(日テレ系)」で紹介

お金の「貯め方」ではなく「使い切り方」に焦点を当てた
これまでにない「お金の教科書」である。

経済学者、起業家、ニューヨークタイムズ紙なども絶賛!
あなたの人生観を ガラリと変える
「人生が豊かになりすぎるお金の使い方」とは?

・一刻も早く「経験」に金を使う
・「収入の〇割貯金する」をやめる
・子供には死ぬ「前」に与える
・45~60歳には資産を取り崩し始める
・「死ぬまでにやりたいこと」は時期で考える
・ゼロで死ぬ……

私たちの人生をがらりと変える
「人生が豊かになりすぎる究極のルール」を紹介。
さまざまな気付きを与えてくれる
人生のバイブルとなり得る一冊である。

なぜ、この本は読むべき価値があるのか?
この不確かな時代に、誰も気にしている
2つの極めて重要な問題の核心に触れているからだ。
それは、「何のために貯金するのか」
そして「どのように生きるのか」だ。
――ニューヨーク・タイムズ紙

本書は、お金を“ 最も価値あるもの”と交換する方法を教えてくれる。
それは「経験」という名の、人生に喜びをもたらす究極の宝物のことだ。
(ボストン大学経済学部教授ローレンス・コトリコフ)

この本は、思い出に満ちた最高の人生をつくるための
まったく新しい考え方を教えてくれる。
なぜ、やりたいことを先送りする必要があるのか?
最優先すべきは、今を大切にすることだ。
リソースを賢く使いながら、
人生を生きるための驚くべき方法が見つかるだろう。
(コメディアン俳優 ケビン・ハート)

著者は、世間一般にいわれる人生の黄金期を待つのではなく、
今、豊かな人生を生きることに目を向けるべきだという。
この意見に心から賛同する。


本書を読み、考え方を変え、目を覚ましてほしい。手遅れになる前に人生を豊かにする経験をたくさん積み重ねてほしい。
(ベストセラー作家 『The Automatic Millionaire』、『The Latte Factor』デヴィッド・バック)

人生のあらゆるステージを最大限に生きる秘訣を知りたいのなら、
この実践的でタイムリーな本を読むべきだ。
(コーコラン・グループ創設者バーバラ・コーコラン)


            ★★★

やっと、読む時がきた!とばかりに6月最終週に一気に読んだ。

書店等ではまだ平積みのベストセラー。

冒頭の「アリとキリギリス」のイソップ寓話に、この書籍の言わんとしたことがぎゅっ!っと、詰まっている。

勤勉なアリとお気楽キリギリスの運命はおおかたの人はみな知っている。
厳しい冬に生き残るのはアリで、キリギリスには悲惨な現実が待っていたのだ。

この寓話の教訓は、「人生には、働くべきときと遊ぶべき時がある」という。もっともな話だ。

しかし、本書の著者、ビル・パーキンスは?疑問を投げかける。

必死で働き、貯め込んだアリはそれまで、いつ遊んだんだろうか?

アリの一生なんて、とても短いのに・・・。

必死で働いて、やれやれと、思った瞬間に力尽きてしまう場合だってあるのだから。

そして、人生で一番大切なのは、「思い出」を」作ることだ。と、教えてくれた。

さあ、本書を読んだ人から大胆にリスクを取って行動しよう!

そして、最高の人生に仕上げて行こうじゃないか!

では、また!

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SunTAMA Style』2020年6月30日記事

『SunTAMA Style』2021年6月29日記事

『SunTAMA Style』2022年6月29日記事

『LifeTour21st』2016年6月29日記事

疲労をマネジメントする

『みいこStyle』2018年6月29日記事

ミレーに会いに山梨へ

『野心のすすめ』林 真理子・著(講談社)【選書・文化/旧記事更新82】

【ブログ新規追加1205回】

野心のすすめ』林 真理子・著(講談社)

簡単レビュー

作家・林 真理子氏のモットーは「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」

中学時代はいじめられっ子、その後もずっと怠け者だった自分が、なぜ強い野心を持つ人間になったのか。

全敗した就職試験、どん底時代を経て『ルンルンを買っておうちに帰ろう』での鮮烈なデビュー。

その後のバッシングを振り返り、野心まる出しだった過去の自分に少し赤面しながらも、“低め安定”の世の中にあえて「野心」の必要性を説く。


「有名になりたい」「作家になりたい」「結婚したい」「子どもが欲しい」
無理と言われた願望をすべて叶えてきた人気作家による「夢を実現させるヒント」がつまる名書だ.


もくじ
第一章 野心が足りない
屈辱感は野心の入り口/無知の知/「テクノルック」で糸井さんに突撃/
若い作家が消えてしまう理由/「一生ユニクロと松屋でオッケーじゃん」

第二章 野心のモチベーション
友人同士の「タイタニック」格差/ファーストクラス入門/
自分に投資すると「人気」がついてくる/野心と強運の不思議な関係

第三章 野心の履歴書
不採用通知の束を宝物に/「新規まき直し」作戦/
小さな成功体験を大切にする/「マイジャー」ではなく「メジャー」/
カリスマ編集者・見城徹氏の登場/スランプ――霧の中の十年

第四章 野心と女の一生
ママチャリの罪/“絶対安全専業主婦”の存在/オス度の高い男性ほど美しいメスを選ぶ/
自己完結の「美魔女」、美人の有効利用「女子アナ」/女性経営者の野心のバネは「悔しさ」/
働く女性がウサギからトラへと変わる時/いま振り返る「アグネス論争」

第五章 野心の幸福論
欲望の「大食漢」/「妄想力」が野心のバネになる/「止まっている不幸」の恐ろしさ/
野心の日常的な心得とは/野心という山登り

                ★★★

出版社勤務のわたしが、仕事上オンラインで済む会議でも、わざわざ会社に出社し続けてきたのには、大きな理由がある。

それは、仕事の現場には無数の「野心」があることを知っているから。

その野心を「見つける」のを密かに楽しみにて、出社し続けてきたのだ。

いつも穏やかなマーケ部出身の上司K氏。それが、書籍のデザインや売り場装飾の会議となると、目の色を変えてあーでもない!こーでもない!と、驚くほど饒舌になる。

まさに「野心」丸出し(笑)

また、今月は長年お世話になってきた、ペア担当のWさんがご退職との知らせで、なごり惜しいおしゃべりを楽しんできた。

彼女の素敵なところは「登らないけど、登山グッズを買うのが趣味」ってとこ(笑)

昨年末の集中会議で3本の書籍企画を出されていた才女。

(本は企画がすべて。どんなに上手い文章であっても、内容=企画の段階でほぼダメ出しされてしまう)

その企画が、3本すべて「ぽしゃった」時点で退職を決意し、別の新天地(学生時代のあこがれを求め)今回、転職を果たしたのだと聞いた。

本人いわく、「まだまだ負けられないわ!」と、「野心」丸出しで気を吐いていた!

ああ~~ん!なんて、最高な野心の転がっている現場なんだろう。

そんな場所を避けるのだけは、もったいなくて、とてもできないのよね。

もう、わたし自身は超穏やか路線で生きているから、他人の「野心」を栄養に頂いているだけで充分(笑)

というわけで、「野心のすすめ」を紹介しつつ、会社員生活の一部を書いてみた。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年6月14日記事はなし。

『SunTAMA Style』2021年6月14日記事

『SunTAMA Style』2022年6月14日記事

『SunTAMA Style』2023年6月14日記事

『みいこStyle』2019年6月14日記事

休みを遠慮せず取って、やりたいことを今すぐやれ!

『エッセイストのように生きる』松浦弥太郎・著(光文社)【選書・ワークスタイル/旧記事更新78】

【ブログ新規追加1200回】

エッセイストのように生きる』松浦弥太郎・著(光文社)

書くことで救われてきた。書くことが人生を変えてくれた(文中引用)

パーソナルな心模様を描いた文章を書き続け、周囲を見つめ続け、考えつづければ、おだやかなエッセイストとしての暮らしが手に入る。


エッセイスト松浦弥太郎が、考え方、書き方、読書、SNSとの付き合い方までを案内する新しい思考のレッスンだ。

簡単レビュー(文中の「はじめに」引用)


【エッセイストの暮らしと、エッセイの書き方・考え方とは】
職業はエッセイスト。そのほかにさまざまな仕事のかかわりがありますが、基本的に「エッセイを書く」ということが暮らしのベースにあり、いつしか「エッセイを書く」 ための暮らし方が自分らしい生き方になり、自分のこれまでの人生を築いてきたように思えます。
そこでふと思いました。これからを生きる選択肢のひとつとして「エッセイストという生き方」があるのではないかと。なんてことないと思っていた自分の生き方は、もしかし たら、これからの時代を生きるため、いや、生き抜くための「小さな発明」かもしれないと。(はじめに、引用)

もくじ
第1章 エッセイとは、なにか
第2章 エッセイストという「生き方」
第3章 書くために、考える
第4章 書くために、読む
第5章 エッセイの書き方
特別コラム「僕の教科書的エッセイ」も所収

プロフィール
松浦弥太郎(まつうらやたろう)
エッセイスト。1965年、東京生まれ。
『暮しの手帖』編集長、「クックパッド」を経て、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。
著書は、『しごとのきほん くらしのきほん100』『センス入門』『松浦弥太郎の「いつも」』『今日もごきげんよう』『それからの僕にはマラソンがあった』『僕が考える投資について』など多数。

             ★★★

素敵なタイトルに惹かれて購入。

久しぶりに一気に読んでしまったので、さっそくレビューを書いた。後半では、わたしの捉えるエッセイスト像などを書いてみよう。

エッセイ=散文を書くのが、ことのほか楽しい。

様々なSNS媒体がある中でも、「独自の編集ができるブログがあって本当に良かった」と、心の底から感じて生きてきた。

私が書きたいことは、ストーリー性の高い物語や小説ではなく、「仕事や暮らしの中から自分が考えたことや気づいたこと」を文章にすることであり、文字通りの「散文」でしかない。

だから、外仕事や家で家事をしているときも、いつも何かしら「これはどういうことなんだろう?」これはどう思ったのかしら?」「この出来事から導き出せることはなんだろうか?」と考えているし、疑問を自身に投げかけ、答えを導き出すのが、一種の癖というかルーティンになっている。

『エッセイのように生きる』の中にもこんな一説があった。

エッセイの本質は、「今日、こんなことがあった」という行動ではなく、「その出来事からこんな風に考えた」という自分なりの考察があってしかりであると。

要するに「目の前の出来事を明記するのではなく、自分の頭で考えて、心が感じたこと、思い描いたことを文章にする」のがエッセイの本質だ。

これは、言い当て妙だな・・・と、感心してしまった。

わたしが、これだけ長い間、飽きもせず文章を書き続けてこれたのが、まさに「個人の日常における小さな手のひら体験」を散りばめてきたからであって、「わたしがわたしとして書くオリジナルなエッセイ」にほかならないからだ。

そして、「オリジナルにこだわればこだわるほど、他者との比較とかに全く関心がなくなって行ける」ことにも気が付いた。

エッセイがど真ん中にあれば、ノイズのような文学賞やタイトル取りをスルーできる。

まさに「事実は小説より奇なり」だ。

エッセイのおかげで、自分らしく「好きに好きなだけ文章を編める」という幸せを手に入れられたのだ。

これって、松浦弥太郎氏の言われる「エッセイストの生き方」の王道スタイルじゃない?と、悦に入ってしまったよ(笑)

そして、今日も、読んでいる他者の文章の中に、書いた人のオリジナリティの端々が見え隠れするような文章に出会いたくて、様々なWEB媒体や書籍で文章に触れ続けている。まるで宝さがしのようにね。

わたしも「エッセイストのような生き方」をしよう。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年6月3日記事

『SunTAMA Style』2022年6月3日記事

『SunTAMA Style』2021年6月3日記事

『LifeTour21st』2017年6月3日記事

シンフォニー・つかの間の逃避

『みいこStyle』2019年6月3日記事

週末の場所は秘密

『子どもをおいて旅にでた』杉山 亮・著(ちくま文庫)~GW直前、放浪旅を堪能できる一冊見つけた!【選書・自己啓発/旧記事更新61】

【ブログ新規追加1183回】

子どもをおいて旅にでた』杉山 亮・著(ちくま文庫)

超簡単レビュー

「名探偵ミルキー」シリーズで人気の児童書作家・杉山亮が妻と二人の幼児を残し出かけた若き日の旅の記録。

徒歩・野宿・行き先未定・1ヶ月間。そんな風変わりな旅で何を見つけるのか。

「子どもをおいて」出る旅は一見、無責任のようだが、家族の結びつきを確認する行為でもある。

家族といることが好きなのに、一人にもなりたくなってしまう矛盾を抱えた全ての人に。

★★★

今年のGW。行先をやっと絞り込み、先週ホテルを予約したばかり。

しかも、当初の予定よりもだいぶ、ずれ込んでGW最終日から出かけることになった。

しかも、お天気の問題は常にまとわりついてくるから、もしかすると×かもしれないし(泣)

ま、その時はその時よ。

で、先週末に偶然見つけた「子どもをおいて旅にでた」は、手に取ってパラパラを読んでみたら、「何これ?超面白い!絶好の旅本じゃん!」となり、あっさりと手に入れてきた。

大学山岳部出身の著者、小春日和のある日、急に甘い罠のような「旅立ちへの囁き」を自分の中に感じてしまう。

旅に出たい!

しかも長期で!と思い詰める。

4才と2才の子どもを持つため、妻の了承を見事に得て、虎視眈々と2ヶ月間の準備期間を取り、めでたく1ヶ月間の放浪に旅立つのだ。

読むうちにこの人の旅スタイルは「徒歩と野宿」が基本だと知って軽く驚く(笑)

なんと酔狂な?!(よ~するにモノズキってこと)

(かくいうわたしなども、旅に関しては「ど・ローカル」を目指している。有料道路はなるべく避け、一般道で行く車旅が基本。本州を離れる時だけはあっさりと飛行機に乗り換える。まさしく酔狂さがにじむ旅をしてきた。遠い目・笑)

また、この本の巻末に解説を寄せてくださっている、作家であり写真家・エッセイスト・冒険家である椎名誠氏が「背筋がぞくぞくするくらい、文章に引き込まれる・・・」と、大絶賛されていた。

わたしも文章の上手さ・面白さに、あっという間に読了してしまった。

近年、目が悪くなっているにも関わらず、大変に読みやすい紙質のちくま文庫。名書を探す楽しみができた。

さて、物語に戻って、著者が徒歩だけで向かった先は、住まいのある長瀞~奥秩父~清里~南アルプス~伊那~奈良井~高山~白山~白川郷~金沢~高岡~富山~北アルプス~上高地~松本~美ヶ原~八ヶ岳~佐久~長瀞で着地。

1ヶ月間歩き通しながら、山道だけでなくその土地や街界隈でもパチンコや映画、梅沢富美男の公演やサーカスの巡業まで楽しんでいる。

パチンコで勝ったら、奥さんと子どもたちにお土産を送ったり、上高地ではスタンプラリーに参加して美しいポストカードを手に入れる。

節約家の所持金は5万円(もしもの時に使うカードに2万円)の合計7万円。

この旅では所持金はすべて使い果たし、もしもの2万円も利用して7万円の放浪旅だったそうだ。

徒歩と野宿だから、さぞかし危険がいっぱいだっただろう。徒歩で使う道もほぼ峠を越える山道ばかり。

しかし、これには理由がある。舗装道路ではすぐに足に豆ができ、腰にも負担がかかるんだそうだ。なるほど。

野宿に最適なテントはモンベルのものを用意して、ロングトレイル用の靴も買った。少しでも荷物を軽くするために、着替えのTシャツは1週間着続けたら捨て、新しく購入するサイクル。

旅のはじめには体がなまってついてこれなく、10分歩いては5分休むようなヨチヨチ歩きだったのが、最後には体のぜい肉もすっきりと落ちて疲れを見せない強靭さが備わっていった著者。

感動的だったシーンは、美ヶ原で「もう、放浪旅はここまで!」と思い切り、帰路へのトレイルに行動が変わっていく場面だった。

ロングトレイルをやってみたい!世界の巡礼旅に行きたい!という人にはうってつけの名書だろう。

というわけで、GW直前に旅気分満載の一冊を紹介した。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年4月24日記事

『SunTAMA Style』2022年4月24日記事

『SunTAMA Style』2023年4月24日記事