● 女性活躍推進法の改正について
2020年6月1日 女性活躍推進法の追加施行がなされた。今回の追加施行はこちら。
この法律の正式名称は女性の職業生活における活躍の推進に関する法律とされる。主に、国や自治体、企業などの事業主に対して、女性の活躍状況の把握や課題、それらの分析、数値目標の設定、行動計画の策定や公表が充てられる。
言うなれば、企業努力そのものだ。当初、300人以下の事業主が対象とされていたが、法改正により、101人以上の事業主に拡大された法案だ。
女性活躍推進法が成立した背景として挙げられるのは、以下のようなこと。
- 現在および将来の人手不足、労働力不足を解消するため
- 就業を希望しているものの、育児や介護を理由に働けていない女性が約300万人にも上るため
- 出産・育児による離職を経て再就職する際に非正規雇用者となる場合が多く、能力の発揮を阻む一因となっているため
- グローバル化やダイバーシティ(人材の多様化)に対応するため
- 各種ハラスメントに対処するため
政府は、女性が充分に活躍できていない現状を鑑みてこの法案を成立させ、女性が働きやすくかつ、長期的にキャリア形成をしていけるように、国、地方自治体、一般事業主に対してさらなる改革を求めたものである。
この法案が成立して早や、4年。今回の追加事項である就業人数が101人以上の就業先であれば、女性活躍推進法の導入は避けられない。
常に荷重労働や低賃金が当たり前となる事業先も多く存在するであろう。この法律導入で、働く環境の整備や女性を取り巻くことがらについての企業努力が実りを迎えることを願ってやまない。
● 働く女性の本当の課題
では、女性の雇用や働くマインドの求める先は働きやすさや賃金だけだろうか?もっと他にあるのではないか?と、視野を広げて書かれた書籍を紹介しよう。女性はなぜ活躍できないのか 大沢真知子・著である。
大沢氏が本書の中で語る、女性の離職の現状とその解決策について(文中より)
女性が離職する本当の理由は結婚でも出産でもありません。原因の第一は仕事への不満や行き場のない行き詰まり感なのです(文中から)
等身大のロールモデルが見つかっても、ある意味、成功体験を持つ女性の足を引っ張るのはほぼ同性なのだ。女性の職場は女性特有の戦場でありロールモデルは嫉妬の対象でしかない。
では、大沢氏の提案する女性が活躍するための解決策とは、女性管理職が多く、女性正社員の割合が大きい就職先を見つけること。女性の多い職場は働きやすく、業績も好調だという事実がしっかりと認識されて、男性社会に浸透することを願うというものだ。
これでわかることは、やはり働くこちら側のマインドをよりしっかりと仕事に向け、仕事に出る不安材料にことごとく手を入れて、不安感を取り除いておく心がけの徹底が一番大事だと読み取った。
● 勝間和代さんとの出会い
さて、副題の勝間和代さんとの小さな出会いは、女性活躍推進法の施行直前の2016年4月のことだった。某情報通信メーカー主催の無料セミナー。女性トップ経営者の勝間和代さんの通信情報戦略を東京カンファレンスセンターで受けたのだ。
その日、夕方6時近くまで仕事をし、丸の内に駆け付けた。会場にはすでに800人が座席を埋め尽くしていた。その大半が女性!もちろん男性も3割程度参加している。
男性陣の目当ては、経済評論家であり、勝間さんのビジネスパートナーである上念 司氏のセミナーだ。その当時、流行りの情報通信事業の現場取材を事細かに説明し、あっという間の30分が過ぎた。
その後、登場した勝間さん、あるビジネス戦略の応用をお得意のマシンガントークでガンガンと進めていった。皆、必死でメモを取る。8時30分終了時間いっぱいの渾身のセミナーだった。
話終えて、そのまま退席しようとした勝間さんに、司会者が 「では、ここで質疑応答の時間を〜」っと言いかけた時、勝間さんはマイクを手に取り、「ちょっと待って!」っと。
「それは事前に聞いていない。どうしてきちんと打ち合わせできないの!」っと大きな声で一喝。会場に激震が走った。
主催者が出てきて、あわてて勝間さんに謝るが、勝間さんは「皆さんは忙しい仕事のあとに駆けつけてくれているのに、時間の配慮が全く感じられない。がっかりしました。そして皆さんにお詫びします!」と言って頭を下げ参加者に一礼。引き留めるセミナー主催者を振り切り、さっと会場を後にした。
あっけにとられた800人の参加者。しかし、すごいな。正面から闇の原則に打って出て、ちゃんと意見を述べて謝るべき相手には頭を下げて。鮮やかだとしか言えない。
会場の8階の出口では多くの人がエレベーターに押しかけていたので、私は急いで階段を探して降りようとしたら、その時だ。
「お疲れ様!」っと声を掛けられた。振り返ると勝間さん!「階段で行きましょう」っと言われて一緒に階段を下り1階出口へ。最後に「じゃ、また!」と手を振り、爽やかに去っていった。たったそれだけ、時間にすると3分ぐらいだろうか。
155センチの小柄な勝間さん。予想以上にセミナー中は時間を気にかけ、始終時計を見ながらの講演だった。
サイボーグ的な印象で、一切が効率的でと、無機質なそれまでのイメージが吹き飛んだ勝間さんとの出会い。他人の時間を平気で食いつぶさない配慮が感じられ、さわやかな一瞬だった。
勝間さんの「お疲れ様!」の一声と笑顔が、会場での一件をすっかり忘れさせる。ああ・・・この人は多くの修羅場をたった一人で、戦ってきたのだなと、その満面の笑顔の先を思い浮かべた。
本当の輝く笑顔を放てる人は、仕事への不平や不満は自力で解決し、他人への嫉妬や執着はごく少ない範囲で留める。それは、自分の仕事を全力でやっていると言える自信からくる自然な振舞いだ。
要するに他人を評価したり、嫉妬している暇などないのだ。ここに女性活躍の秘訣があるように思えてならない。
2016年4月、本物に出会えた忘れられない日。