【ブログ新規追加467回】
芸術の秋到来。
まったく絵を描かないわたしが、知る由もない絵画を書く際の行き詰まりや表現への苦悩。
そういった画家が持つ思考や悩み、絵画への尽きぬ情熱、新進気鋭のデバイスを利用した新創作への挑戦。
こんな情報が満載の一書を紹介する。
• 書籍概要
待望の増補普及版。時代と地域を超え、写真、映画、デジタルまでを網羅した画期的な絵画書である。
現代美術界の巨匠デイヴィッド・ホックニーが、美術批評家マーティン・ゲイフォードとの対談を通して 有史以来の視覚芸術に通底する表現の本質に迫る。
デイヴィッド・ホックニーは語る。
画像(Picture)を用いることは目で見たものを説明する唯一の方法。
しかし、三次元の人物、物、場所などを、二次元の絵画に置き換えるには、どうすればよいのか。
絵筆、カメラ、コンピューター・ソフトウェア用いて描かれた「画像」は、私たちが周囲の世界、ひいては私たち自身をどのように見ているかを理解するにはための大きな手がかりとなっている。
本書は、絵画(画像)の歴史を、著名な芸術界の第一人者同士の対話によって叙述したもの。
鋭い洞察を備え、自由な思考を促し、現実を表現する様々な方法に関する私たちの理解を深めるのに大いに役立つだろう。
• もくじ
序 画像、美術、そして歴史
1 画像と現実
2 徴をつける
3 影とごまかし
4 時間と空間を描く
5 ブルネレスキの鏡とアルベルティの窓
6 鏡と映像
7 ルネサンス:自然主義と理想主義
8 紙、絵具、複製される画像
9 舞台を描く、絵画を上演する
10 カラヴァッジョとカメラのような目付きの男たち
11 フェルメールとレンブラント:手、レンズ、そして心
12 「理性の時代」の真実と美
13 1839年以前と以後のカメラ
14 写真、真実、そして絵画
15 写真を使う絵画、使わない絵画
16 スナップショットと動く映像
17 映画とスチル写真
18 終わりのない画像の歴史
★
全頁366だが、装丁、中の絵画、作品のテキストが網羅されていて、二人のクリエイターの対談で一切が進められている、とても読みやすく楽しい本だった。
ただ3850円(税込み)と。
少し高価だが絵を描く人だったら一冊手元の持たれると良いと感じた。
特に「iPadで絵を描く」という現代のデバイスを瞬時に取り入れて素描した絵などとても興味深い。
わたしごとだが、チェコ人の友人(40代女性)の画家が、7年前だったかな、「iPadで描いた家の周りの自然」を表現した作品を集めた個展を有楽町で開いた。
当日行けないと打診すると、近所まで来てくれて、iPad の中の素描を見せてくれた。
緑の美しさや川の揺らぎなど、いつも身近にある風景が iPad で描かれたことで活き活きと現代風に表現できるのだな~っと、新鮮な気分にさせられたんだ。
今回、紹介する「絵画の歴史」では、おもに「画像」の話から二人の対談がはじまる。
画像の歴史は、洞窟に始まり、現時点では、コンピューターのディスプレイ上で終わると。
この先どうなるかは、誰にもわからない。
ひとつ確かなのは、「難題」がついてまわること。
三次元の世界を二次元上に表現するにはどうすればいいのだろうか?
と、こんな風に疑問で閉じられた対談&絵画集。
絵心のある方。
二人の対談を読まれて、この「難題」に取り組んでみるのも面白いかも。
わたしはできないんで(笑)
よろしかったら、ぜひ!