【ブログ新規追加559回】
今年の紅葉もそろそろ終わりを迎える。
年々、季節の贈り物ともいえる落葉の鑑賞や収集が、植物好きのわたしにとってはなくてはならない暮らしの風物詩となっている。
「朽葉四十八色」をご存知?
「朽葉四十八色」とは、秋の落ち葉の色を表す王朝風の優雅な伝統色名のこと。赤みが強い色を 赤朽葉 、黄色みが強い色を黄朽葉と呼ぶ。着物の用語として古くから用いられている言葉。
青朽葉色、黄朽葉色、赤朽葉色などなど。
いにしえの人々は、秋になって樹々が落とす葉が徐々に土に還って行く様を見続けていくなか、朽ち果てる葉の繊細な幾重にもレイヤーされた色の違いを「朽葉四十八色」と、表現されたそうだ。
朽葉色の「朽ちる」という言葉には、どこか「命」に通じるもの=意志が宿っているように思えてならない。また葉っぱの静脈からも生命を感じる。
だから、植物の命が発する紅葉という「色」に、わたし達は魅了されるんだろう。
植物が好きで再燃した山歩き。その中で日本の伝統色をいくつも見つけてきた。
桜、橙、萌黄、月白、東雲など。風景や湿度、匂いまでもが蘇る情緒溢れる色の「言葉」たちだ。
山歩きをすることで、色の名に呼応する風景に出会う楽しみを知ってから、山歩きがしたくて、したくて。
週末は「次、どの山のどの植物や風景に出会おうか?」と、下調べに余念がない。
こんな、植物の色を見つける楽しみも真冬になればぐっと減るから、ポートレイトに挟んだ「今年のもみじ」を眺めながら今朝は、書いている。
そう、落葉の深い色を知ることで「パズルのピースのひとつを見つけて整えた」ともいえる。
自然の宝を丁寧に自分に取り込む作業で「心が整う」んだ。
そして来年の「春」を待ちわびながら。