【ブログ新規追加593回】
今日、ちょっとしたサロンコンサートに行ってきた。
出演者の中で某音楽大学の学生の演奏(ピアノソロ)が特に印象的だった。
弾いたのは、ショパンのエチュードを2曲、同じくショパンをもう一曲。その他にポップスを2曲の計5曲で30分。
で、曲紹介もせず、どんどん弾きまくる。
15分ぐらいたった頃、わたしは「あっ!」と、気が付いたことがあった。
それは、曲を楽譜通りに弾いてはいない。なかば、難しいパッセージや複雑な弾き方をする部分をほぼ、変えてしまっている。
弾き方が難しいので、音を減らすとか、和音の構成を変えてしまうとか。
これって、信じられないというのか「あり?」というのがわたしの本音。
まだ、音大生だからって、あまりにも本物の曲を(表現の部分で)変えすぎていて、気分が悪くなりそうだった。
音楽家時代を経験したわたしが思うのは、楽曲を楽譜通り(主に弾き方や速度、表現の表記に則って正しく弾ける)に弾けるようになってから、コンサートの舞台に立つのが本当だ。
お客様にはわからないだろう・・・と、見込んでの演奏か?
こういった場面は初めてだったから、驚きと残念な気持ちでいっぱいだった。
ドレスの裾を踏んづけてしまうなんていうのは可愛いけど、演奏が本物を逸脱してしまうのは頂けない。
楽曲のダイナミクス(音の総合した迫力)を楽しむのが目的で聴きに来ている人が大半だろう。そこへ、音数を減らしたうすっぺらい演奏では「なんで??」と、なってしまいかねないよ。
しかも、5曲スピードで弾いてしまい30分の持ち時間を15分も残しているし。
ちょっと、どーするんだろう???あとの時間。心配になるやら、可哀そうになるやら。
そんな味気ないステージに花を持たせてくれたのが、お客さんの男性だった。
某音大生が引き終わった時、後ろの席から「ブラボ―!まだ15分もあるよ!アンコール!!」と。
某音大生も自分の演奏でお客様を「満足」させていないことはわかっていたようで、すぐにピアノに戻り、今度は楽譜通りの曲を3曲みっちり聴かせてくれたのだ。
その男性の「ブラボ―」がどれだけ、某音大生を元気づけたか計り知れない。
終わったあと、前にいた女性も「卒業するまでには、もっと上手になるだろうし、もっと綺麗にもなるだろうね」と。
本当にみんな優しい。
優しい人に包まれたサロンコンサートで、内心ほっとした気分で会場をあとにした。
これまでイマイチな演奏会にはあまり遭遇したことはない。
だから、今後もし、イマイチだったらわたしも率先して「ブラボ―」って、言ってあげよう!
「ブラボ―」は誰でも言える、元気をさずける魔法の言葉。
※ 最後に聴いた曲の紹介。
「バウムクーヘン」お菓子の世界・湯山 昭/作曲