【ブログ新規追加608回】
これまで流行りの映画から学んだことは数知れず。
中でもひときわ「これ、絶対に真似したい!」と、思わせられたワンシーンが『アメリ』の中にあるのだ。
それは『アメリ』(フランスはパリの平凡な女性の日常をおしゃれに描いた世界的大ヒット映画/2001年)のオープニングのワンシーンから。
※映画のワンシーンを文字にしてみよう。
ある老紳士が親友の葬儀に参列して、家に帰ってくる。
悲しみに打ちひしがれた老紳士は喪服のまま涙をぬぐい、そばにあった住所録をおもむろに開くと、亡くなったばかりの友人のアドレスに「二重線」を引いた。というワンシーンだ。
老紳士の引く二重線、それは「もういなくなった」という意味なのよ。
どーしてこのワンシーンが真似したくなったのか?
それはね、フランス人の几帳面な暮らしぶりやしんみりとしつつも、実務を忘れるほど呆けてしまうことはないし、冷静沈着な振舞いで心を癒す、という見事な「儀式」のように見えたからなの。
アメリのおしゃれな暮らしぶりや行き違う恋にハラハラするとかいうのとはまったく違う場面に心を射抜かれちゃった(笑)
映画に影響されてすぐに実行してみた。当時、主宰していたピアノ教室の生徒名簿を手書きで作成していたが、辞めていった生徒さんの名前と住所には二重線を引いて消すようにして行った。
現在では、仕事も変わり、書店営業先で閉店した店舗もリストから単にはずすだけでなく、二重線をきっちり引いて別れを惜しんできたのよ。
同様に個人的な住所録も同じだ。
今年のお正月に高校時代の親友が亡くなった。知らせを受けたのは「松がとれた」あとだった。どーして年賀状がこないんだろう?って思っていたら・・・。
本当に悲しくて、少しの間しんみりとした気持ちで過ごしていたけれど、数日経って気持ちが癒えてきたら、住所録にある彼女の名前と住所に二重線を引いた。
「さあ!わたしは次に向かおう!」と、心底思った。
小さなことだけれど、二重線を引いたところに彼女の亡くなった日にちを書き込んだ。
これで、毎年忘れずにお参りできる。
とまあ、わたしの手書き住所録は、そういった友人や知人との別れを惜しむストーリーがたっぷりの雄弁な一冊なのだ。(もうボロボロ・笑)
几帳面なだけだったらとっくにデジタルに切り替えて、亡くなったとかもう会わないとかいう人を一発で消去してしまうだろう。ああ~~スッキリした…という感じでね。
これが二重線で消しただけだと、ずうっと残る「記録」になるんだから絶対に手書き住所録は辞められない。消すんだけど、消えないのが手書きの「良さ」なんだ。
もし、住まいが変わったお知らせなら古い住所は二重線で消し、その下に新しい住所を更新する。
まあ、良く言ってしまえば、たんなる「更新好き!」なんだろうけど(笑)