★2024年4月3日更新 失語症にかかった経験~言葉が出るようになるには?【健康・失語症】

【ブログ新規追加675回】

ハリウッド俳優・ブルース・ウイルスさん(67歳)が先週、失語症を発症され、その俳優人生に幕を落とすというニュースが流れた。

失語症とは→会話や文字でものごとを表現したり、理解したりする能力が部分的または完全に失われる障害です。 言語を制御する脳領域の損傷が原因で起こります。 言葉を読む、書く、話す、理解する、または繰り返すことが困難になります。

(資料先;https://www.msdmanuals.com/ja-jp/脳、脊髄、末梢神経の病気、脳の機能障害について

ブルースさんの場合、失語症の主な原因は「脳の劣化に伴う認知能力の低下」だそうだ。

ただ、ご家族の話では、「認知能力に影響を与えている」というが、専門家は「ものごとを考えたり判断したりする能力は保たれているので認知症ではない」という。

いずれにしても、言葉を失ってしまったわけで俳優としては致命的だ。致し方ないだろう。

では、この失語症という脳の機能不全からの病気は治らないのだろうか?調べてみた。

失語症は急性期脳梗塞の約3割に認められますが、最初の1~2週間は著明な改善が見られやすく、症状が完治する場合もあります。 一方で、発症早期の失語症患者の多くは集中的な言語機能評価や訓練に耐えられないという報告もあります。 また、言語機能の回復は年余にわたることも多く、運動リハビリとは異なった考えが必要です。

(資料先→https://www.nhk.or.jp/kenko/qa/detail_495.html Q&A 言葉が出ない 失語症とは?

多くは脳梗塞、脳出血などの脳疾患による血管損傷から起こる。脳の持つ「記憶」「体を動かす機能」を司る部分の損傷となれば、言葉を失う、身体が動かなくなる、思考が働かなくなる・・・など普通の生活にも不自由になってしまうのは避けられない。

しかし、脳機能改善のスペシャリストが多く務める、専門のリハビリセンターでの治療に早期から取り組めば症状の改善も見込める。

ここで、わたしの失語症体験を語る。

2009年8月に突然、脳出血で倒れた。早い処置で命は取り留めたものの重い障害が体中に残ってしまった。(27ヵ所に及ぶ麻痺、言語障害など)

発病後、翌日にはまったく別人となったわたしが真っ先に考えたことは「どうやって治すか?」の1点だった。

身体中の麻痺も失った言葉も必ず取り返してやる!と闘魂が燃えた。

で、治療の度に「わたしはこの先、どれくらいリハビリを続ければいいのか?」「前と同じように戻るのか?」「仕事はできるか?」など、より具体的な質問を医師に投げかけ続けた。

そんな中、脳の機能回復専門のリバビリ医からは「3か月もすればだいたい治ります」と言われた。

わたしはそれには違和感があり、別の医師に相談すると「〇〇さんは以前のようには戻りません。ただしっかりと諦めずに言葉や身体のリハビリを続けることで早期の社会復帰が可能だとも言えます」と、より具体的な示唆をされた。

その前の医師の話は軽度の脳障害の場合で、ほっといても治るようなもの。

わたしの場合は脳を司る抹消神経までをも刺激するような高度なリハビリが必要だとわかったのだ。

より、具体的に「どうすれば治り、どうすれば普通に暮らせるようになれるのか?」この2点に絞り込んだ質問をしまくったせいで、早期に取り組むべき課題の洗い出しに成功した。

そこから、夫が医師からのアドバイスとリハビリ専門の書籍からの30項目リハビリトレーニングメニューを作ってくれたんだ。

退院後は、身体の機能改善、失った言葉の回復をメニュー通りに毎日取り組み、空いた時間で読書を山ほどしてどんどん症状は改善されていった。(まったく暇なしだったよ・笑)

リハビリはスピードが勝負。どんどん固まる麻痺症状を改善するにはどんどんリハビリで脳や身体に刺激を与え続けるのが一番だ。

ハードなリハビリをセンターで行い家でも粘り強く続けて、「車の運転」「意思が通じる程度の言葉を取り戻し」「文字も書ける」ようになって半年後の3月に職場復帰を勝ち取った。

ここで言えることは、どんな病気であろうと、「この先どう治すのか?」という1点に絞り込んで集中するべきだろう。

そこで、各々家族や周りの人達の役割が明確になり、より手助けになることは間違いない。

充分に練られた改善のストーリーを、皆で描けられれば病気の早期改善に繋がるのだ。

ブルース・ウイルスさんのご家族もまったく同じこと(家族の手助けと役割分担)を、言われていた。

病気は一人で乗り越えるのではない。みんなで乗り越えるもの。

これを知っていれば、いざという時も失望や悲哀に崩れない。

簡単だけど失語症にかかった話を書いてみた。

きっと、誰かの役に立ってくれると信じている。