【ブログ新規追加794回】
お盆前に、亡き母の思い出話からひとつ。
わたしの母(玲子)が70歳の時だったと思う。夫(わたしの父)はすでに48歳で他界して、一人暮らしももう20年余り。
すっかり、板についていた。(他人から見れば自由しかない悠々自適生活だ)
そんな時、旧友(名前は忘れた)がボストンバッグ1個を携えて、深夜にいきなり訪ねてきたのだ。
家に入れて、お茶を出してあげ、一息ついたところで、旧友の話を聞いた。
旦那の悪口をずらずら~~~っと並べてしゃべりまくっていたそうだ。
元々、夫婦仲が悪いといか、性分が合わないというか、とにかくやることなすことすべてがキライだと。
で、「家を出てきたの」と。
母(玲子)は、「それで、これからどーするの?」
旧友は、もじもじしながら「あなた、ひとり暮らしでしょ。ここに置いてくれない?」
母(玲子)は「それって、鼻からわたしの存在や家があることを担保にしてきた家出じゃないの!それって家出?」と、言い返したのだそうだ。
そうすると、旧友は目を丸くして「絶対、あなたならわかってくれると思っていた。がっかりだわ」と、逆ギレしたという。
すかざず母(玲子)は、「70歳にもなって悲劇のヒロイン気取りは見苦しい!今日はこのまま帰って頂戴!」といったが、もう午前0時。
母(玲子)は旧友の御主人に電話を入れて、隣町からすぐに迎えにくるように依頼した。
そして、旧友の家出劇は終了したのだ。
翌日、この話をわたしに滔々と話す母(玲子)はこう言って話を結んだ。
「旧友の心中にあるドラマというか、ヒロイン劇があまりにもお粗末で質素なものだった。旧友の旦那は、そりゃあ、世間的にはいい人で、立派な方よ。それでも夫婦。色々あって当然でしょ?それを、話が合わないとか、ただキライとかってそれだけで家出とは・・・多分不良を一回やってみたかったんだろうね、TVドラマのみ過ぎよ!」
で、母(玲子)は、一瞬で「バカにしないでよ!そっちのことはそっちで片づけて!」と、きっぱり、言ったそうだ。(山口百恵だね。ふるっ!・笑)
それに目が覚めたのか、迎えに来た御主人と共に無事、帰っていった。
そんな話を聞いた娘のわたしはこう思った。
「夫が早くに亡くなり、ある意味老後の辛酸を舐めるような経験をしていない母にはわからないだろう・・・」という旧友の驕りが垣間見える行動だと思った。(愚かな計算ミス・笑)
本当に今、助けるべきか?否か?で迷わず家に帰した母(玲子)の判断と度胸には拍手だった。
忖度ばかりで、空気を読むのが得意な人。
わたしは母(玲子)をそんな風にしか長年、見てこなかったことを大いに反省した。
そして、自分が70歳になった時、母(玲子)のように毅然と振舞い、忖度を上手に従えた大人になりたい・・・と、リアルに想像したのだった。
本物の大人の証しとは、「忖度に強くなる」「言いたいことを言葉で表現できる」「妬みや誹りはしない」「空気を読み過ぎない」
こんなところだろうか。
人生100年時代だ。
70歳でもまだまだ先がある。生き方に右往左往するなんてこともあるだろう。
そんな時、わたしは母(玲子)の「最後までひとりで生き切った姿」を励みに生きていくだろう。
そこに必要なのは「目・歯・足」の健康と、ちょっとの向上心だろう。
さあ、70歳をリアルに想像したら、現実の自分に戻って元気に暮らそう!
今日は、母(玲子)の話を簡単にまとめてみた。
TOPの写真は、母(玲子)が好きだった「サツマイモの薄揚げ」よ。冷たい素麺に欠かせない夏の御馳走。
ちゃん・ちゃん(笑)