【ブログ新規追加805回】
毎年、8月になると思い出すことばの話をしよう。
~どんなに、みじめな気持ちでいるときでも、つつましい、おしゃれ心を失わないでいよう~
『暮らしの手帖』創刊者、花森安治氏のことばだ。
ここで、花森安治氏のプロフィールを。
花森 安治(はなもり やすじ)は、雑誌の編集者であり、グラフィックデザイナーでもあった。社会活動も盛んに行っていたゆえ、ジャーナリストでもあり、広告宣伝ではコピーライターも務める。生活雑誌『暮らしの手帖』の創刊者。
平成26年NHK放映、朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』は、花森と大橋による『暮らしの手帖』創刊に至る軌跡をモデルにしたフィクション作品だ。
当時の制作統括チームのディレクターの話によると「戦争によって、社会不安が増して、未来への見通しが立たない世の中では、工夫して生きるとか、毎日を大切にするというものが、大きな意味を持つようになった。そこで、生活全般に独自の視点を持つ花森安治という人物を時代の真ん中に置き、作品を盛り上げようと企画制作した」と。
わたしは、連ドラのファンではないが、唯一2本だけ作品を全編通して観たことがある。
『とと姉ちゃん』と『花子とアン』だ。どちらも出版関係でとても身近に感じて、毎日、夢中で観てた(笑)
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さて、わたしが『暮らしの手帖』を初めて手に入れたのは2009年8月のこと。
突然の脳出血に倒れ緊急搬送され一命を取りとめた。
その後、見舞いに来てくれたわたしより7歳歳上の知人より、「入院生活、暇でしょ?これでも読んで和んでね!」といい、ベッドにポンっと、置いて行った。
わたしは、『暮らしの手帖』のことを知ってはいたが、中まで拝読したことはそれまで一度もなかった。
だって、昔の雑誌ぽくって、そうそう、農協の雑誌?小冊誌?「家の光」だっけな。あれに似ていると、勝手に思い込んでいた。
その知人が言っていた。「暮らしの手帖は私の愛読書。長年、年間購読してるわ」と。
確かに質実剛健な知人の暮らしぶりにはいつも注目してたんだ。
保存食づくりが得意な人で、北向きの旦那様の仕事部屋に、毎年漬け込んだ保存食がずらずら~~~っと並んでいる。
旦那様いわく、「仕事に煮詰まると、この保存食と目が合う。瓶の中でどんな変化が生まれているのかな?」とか、言ったとか、言わなかったとか(笑)つまみ食いも毎度のことだったそうよ。
そろそろ、いい感じに上を向き始めたらっきょうの甘酢づけや塩の吹いた梅干しやら、幾度もご相伴に預かった。
そんな、生活上手な知人が愛読してる雑誌か。
パラパラとめくると、「夏の終わりのアイスクリームは木のスプーンで」と、何だか素敵なコピー文が目に飛び込んできた。
そして、先の花森安治のことばがあった。「どんなにみじめな気持ちでいるときでも、つつましい、おしゃれ心を失わないでいよう」と。衝撃を受けた一文。
これって、病気で命拾いしたわたしへの花向け?それともご褒美?
「そうか!」
「わたしはこれから一生涯付き合う、言語障害という後遺症に悩んでみじめになるより、一刻も早く麻痺から立ち直って、これまで以上におしゃれをして、仕事(出版営業)に戻るんだ!」と。
そして、一刻も早くおしゃれがしたくてたまらなくなり、肚の底から、回復への意欲が沸き上がったのを今でも鮮明に覚えている。
昔のことばがわたしを一瞬で蘇生させたという話。
もうひとつ、花森安治のことばを。
~きよらかなおしゃれ心に灯をともそう~