【ブログ新規追加1183回】
超簡単レビュー
「名探偵ミルキー」シリーズで人気の児童書作家・杉山亮が妻と二人の幼児を残し出かけた若き日の旅の記録。
徒歩・野宿・行き先未定・1ヶ月間。そんな風変わりな旅で何を見つけるのか。
「子どもをおいて」出る旅は一見、無責任のようだが、家族の結びつきを確認する行為でもある。
家族といることが好きなのに、一人にもなりたくなってしまう矛盾を抱えた全ての人に。
★★★
今年のGW。行先をやっと絞り込み、先週ホテルを予約したばかり。
しかも、当初の予定よりもだいぶ、ずれ込んでGW最終日から出かけることになった。
しかも、お天気の問題は常にまとわりついてくるから、もしかすると×かもしれないし(泣)
ま、その時はその時よ。
で、先週末に偶然見つけた「子どもをおいて旅にでた」は、手に取ってパラパラを読んでみたら、「何これ?超面白い!絶好の旅本じゃん!」となり、あっさりと手に入れてきた。
大学山岳部出身の著者、小春日和のある日、急に甘い罠のような「旅立ちへの囁き」を自分の中に感じてしまう。
旅に出たい!
しかも長期で!と思い詰める。
4才と2才の子どもを持つため、妻の了承を見事に得て、虎視眈々と2ヶ月間の準備期間を取り、めでたく1ヶ月間の放浪に旅立つのだ。
読むうちにこの人の旅スタイルは「徒歩と野宿」が基本だと知って軽く驚く(笑)
なんと酔狂な?!(よ~するにモノズキってこと)
(かくいうわたしなども、旅に関しては「ど・ローカル」を目指している。有料道路はなるべく避け、一般道で行く車旅が基本。本州を離れる時だけはあっさりと飛行機に乗り換える。まさしく酔狂さがにじむ旅をしてきた。遠い目・笑)
また、この本の巻末に解説を寄せてくださっている、作家であり写真家・エッセイスト・冒険家である椎名誠氏が「背筋がぞくぞくするくらい、文章に引き込まれる・・・」と、大絶賛されていた。
わたしも文章の上手さ・面白さに、あっという間に読了してしまった。
近年、目が悪くなっているにも関わらず、大変に読みやすい紙質のちくま文庫。名書を探す楽しみができた。
さて、物語に戻って、著者が徒歩だけで向かった先は、住まいのある長瀞~奥秩父~清里~南アルプス~伊那~奈良井~高山~白山~白川郷~金沢~高岡~富山~北アルプス~上高地~松本~美ヶ原~八ヶ岳~佐久~長瀞で着地。
1ヶ月間歩き通しながら、山道だけでなくその土地や街界隈でもパチンコや映画、梅沢富美男の公演やサーカスの巡業まで楽しんでいる。
パチンコで勝ったら、奥さんと子どもたちにお土産を送ったり、上高地ではスタンプラリーに参加して美しいポストカードを手に入れる。
節約家の所持金は5万円(もしもの時に使うカードに2万円)の合計7万円。
この旅では所持金はすべて使い果たし、もしもの2万円も利用して7万円の放浪旅だったそうだ。
徒歩と野宿だから、さぞかし危険がいっぱいだっただろう。徒歩で使う道もほぼ峠を越える山道ばかり。
しかし、これには理由がある。舗装道路ではすぐに足に豆ができ、腰にも負担がかかるんだそうだ。なるほど。
野宿に最適なテントはモンベルのものを用意して、ロングトレイル用の靴も買った。少しでも荷物を軽くするために、着替えのTシャツは1週間着続けたら捨て、新しく購入するサイクル。
旅のはじめには体がなまってついてこれなく、10分歩いては5分休むようなヨチヨチ歩きだったのが、最後には体のぜい肉もすっきりと落ちて疲れを見せない強靭さが備わっていった著者。
感動的だったシーンは、美ヶ原で「もう、放浪旅はここまで!」と思い切り、帰路へのトレイルに行動が変わっていく場面だった。
ロングトレイルをやってみたい!世界の巡礼旅に行きたい!という人にはうってつけの名書だろう。
というわけで、GW直前に旅気分満載の一冊を紹介した。
それでは、また!
---------------------------------------------旧記事更新61
『SunTAMA Style』2021年4月24日記事
『SunTAMA Style』2022年4月24日記事
『SunTAMA Style』2023年4月24日記事
「猫如く 土筆思はず 目をつぶり」 清流子
晩春、萌え出した土筆を摘もうと手を伸ばすと、気配を感じてか一瞬身をすくめ目をつぶったかのような錯覚に陥りました。そういえば猫を飼っていた昔、同じように手を伸ばし抱き上げると、固まって目をつぶりジッとしていたのを思い出します。やっぱり自然の中に何かを感じ取れるかどうかがキーかな。
ねことつくし( ´艸`)