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『シェニール織とか、黄肉のメロンとか、』江國香織・著(角川春樹事務所
簡単レビュー
かつての「三人娘」が織りなす幸福な食卓と友情と人生に乾杯!
作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。
そして彼女たちをとりまく人々の楽しく切実な日常を濃やかに描く、愛おしさに満ち満ちた物語。
江國香織〝心が躍る〟熱望の長編小説。
「会わずにいるあいだ、それぞれ全然べつな生活を送っているのに。会うとたちまち昔の空気に戻る」
女友だちとの再会って、決まってそうなんだ。
作家の民子は、母の薫と静かなふたり暮らし。
そこに、大学からの友人・理枝が、イギリスでの仕事を辞めて帰国し、家が見つかるまで居候させてほしいとやってきた。
民子と理枝と早希(夫とふたりの息子がいる主婦)は、学生時代「三人娘」と呼ばれていた大の仲良し。
早速、三人で西麻布のビストロで、再会を祝しておいしい料理とワインを堪能しながら、おしゃべりに花が咲いて。
話の顛末は作品でお楽しみいただきたい。
★★★
初めて、江國香織作品を読むのにおすすめはこれ。
『冷静と情熱のあいだ Rosso』角川文庫
江國香織の作品を選ぶ際は、最初に映像化作品をチェックするのがベター。
映像化されている作品は、どれも人気がある小説ばかり。
辻仁成とのコラボレーションが話題となった「冷静と情熱のあいだ」の他、「東京タワー」「間宮兄弟」「神様のボート」などが映画・ドラマ化されている。
また、最初に映画・ドラマを観てから、読みたい小説を探すのもおすすめ。江國香織の空気感がしっかりと映像で再現されているので、お好みの小説を探しやすい。特にはじめての方には、江國香織の世界観をつかむきっかけになるだろう。
江國香織は、その世界観と繊細な描写が評価され、多数の作品で文学賞を受賞している。
例えば、生々しい恋愛を描く「号泣する準備はできていた」「きらきらひかる」や、温かさを感じさせる「こうばしい日々」ファンタジックな「ぼくの小鳥ちゃん」など。
文章の表現は、どの作品も実に読みやすく、まずすらすらと読める。
難解な表現もなく、どこか「オシャレ感の漂う素敵な女性になりたい!」と願う少女のような感覚だと感じる。
まさしく、シェニール織のハンカチで少しの汗を拭く、夏の午後にピッタリの小説をセレクトしてみた。
女の集まる話はどこか生生しくて、それでいて面白くて、結局小説のネタというか、作品にまで昇華しちゃうのね(笑)
それでは、また!
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『SunTAMA Style』2021年8月9日記事
『SunTAMA Style』2022年8月9日記事
『Life Tour 21st』2016年8月9日記事
https://lifetour.blog.jp/archives/1060013238.html 「レガシー(古臭く)にならないようデザイン力を磨く」
「初秋入り 忘れた熱さ 許すまじ」 清流子
暦の上では早や初秋。うだる様な暑さに夏が去り忘れているかのよう、でも時はこっそり忍び込み、原爆の放射線の熱ささえ伝わり難くする。悲惨な戦争許すまじの精神は、風化を防ぐべく何としてでも正しく受け継いでいかないとね。その意味で小説化は手段になり得るかも!?