これまで、3度読み返してきた「女性の品格」(著)坂東眞理子氏の超ベストセラーの紹介をする。
この品格という言葉は、この書籍が出版された2006年の流行語大賞を受賞した。そこから本書は現在までで、なんと、300万冊を超え売れ続ける名著となった。
タイトル付けが絶妙だ。女性の・・・と付ければ、女性が新しく何か起こそうとする時に決まってぶち当たる、作法や礼儀、様々な接遇に関することが書かれていると、自然と頭に浮かぶお役立ち書だとわかるものだ。
3度読み返してみて気づいたことは、この書籍の内容は、本来女性だけが独占すべきものではなく、男女の境を持たず、いかに人として気持ちよく生きて行けるかというテーマを元に書かれた生き方指南の向きが大きい。
本書は、ビジネスの観点から大事な「話し方」「装い方」「対人・恋愛」に至るまで、あくまでも女性の性を基本において、娘世代にわかりやすく指南されているのが特徴だ。
具体的なアドバイスとしては、「お礼状が書ける」「約束を守る」「型どおりの挨拶ができる」といった教えは、営業マンのわたしが最も重要だと思い、手帳にメモった記憶がある。
こうした普段の行動が人との距離を縮め、信頼をうむのだと実感している。
【もくじ】
はじめに~凛とした女性に
第一章 マナーと品格
第二章 品格のある言葉と話し方
第三章 品格ある装い
第四章 品格のある暮らし
第五章 品格ある人間関係
第六章 品格ある行動
第七章 品格のある生き方
あとがき~強く優しく美しく、そして賢く
以上だ。発刊が2006年と若干古いので、取り上げている現場の内容にズレもあるが、おおすじ、言われる通りじゃないかと感じる。
わたしは、この本を読んで、花の名前を覚えることや古典に親しむこと、日本古来の行事を大切にすることなどを、生活に取り入れてきた。今ではなくてはならない大切な習慣となっている。
ベストセラーとなる名書には、こういった、何度も読み返すだけの価値が深い作品が多い。
現在、女子大学学長でもある坂東眞理子氏。現代女性が生きるために大切な品格を見事に表現されている。
第三章 装いの章では、見かけだけで無く心持ちもキチンとする事が大事だと。
また、第五章 人との関係を良好にする行動や考え方は大いに共感した。群れない、見下さない、感謝の意を表す、愛されるよりも愛す、権利を振りかざさない
一見簡単そうに見えてもわたしにはなかなか難しいことばかりだ。
※ 品格と言えばこの人、オードリー・ヘップバーン。彼女の名言をまとめたサイトはこちら→https://matome.naver.jp/odai/2141440901775820801
さて、ここで、以前のブログで書いた「作法とこころ」を載せる。
「作法とこころ」
~きれいなご挨拶はするほうもされるほうも嬉しいもの~
「でも、人って、話しあってるとき、本当の気持ちは決して口に出さないね。みんな、気持ちと違うことを言うのに、聞く方は本当の気持ちを察してやらないとならないんだよ。」 映画 イミテーション・ゲーム(エニグマと天才数学者の秘密)より
たった一度のお辞儀で、人の心を捉える・・・そんな場面に出くわしたことがある。
その女性は仕事先の所長をされていた40代の独身女性で、正月あけの仕事初めにご挨拶に伺った時のことだ。
お決まりの新年の挨拶をした私に対して、80度の美しいお辞儀を深々とされてから、ゆっくりとだが、しっかりとこちらの目を見つめて、「今年もどうぞ宜しくおねがいいたします」 と言われた。
その間数秒だったが、一生忘れられない丁寧で美しいお辞儀を下さった方だった。
人を大切にすること、思いやることは何も難しいことではないのだと思う。謙虚な気持ちや振る舞いを、言葉や仕草で表現する。
基本は、「人さまにとって見苦しくない」 ように立ち振舞うことだと考える。つくづく、余韻の残る女性になれたらなあ と感じるこの頃である。
思いやりと優しさで忘れられない女性がもう一人いる。私の初めてのピアノの先生だ。
6歳でピアノをはじめた時、近所に先生はいなくて、親戚のそばにあるお教室をおばに紹介してもらった。
バスに乗って15分ほど行ったところだった。先生は、ちょっと太めだが笑顔が素晴らしく、オペラ歌手だったので声も素敵だった。
レッスンはきびしかったが、終わるといつもソファに一緒にすわり、バスの時間までお話をしたり、暑い夏には冷たいジュースを用意してくれ、いつも必ずドアの外までお見送りをしてくださる、それはそれは、優しい先生だった。
私もいつか先生みたいになりたいと憧れて、一生懸命ピアノに通った思い出がある。
最近、「松平家 こころの作法」を読んだ。作法のこころとは、正しいと思う物差しを自分の中の軸とすることである。
こころに自分の軸を持っている人は、いざという時に強い。こう生きるという信念、守りたい人やもの、誰にも攻め込まれまいとする強い心が 「自分軸」 なのである。
「自分軸」を持つと、どんなに辛い状況にあっても ”踏ん張れる力” が湧いてくる。「自分はこういう人生を生きたい」「ここまでは許せるけれど、ここからは譲れない」 という自分の城をつくって自分を守るのだ。
今、豊かで便利な時代になったからこそ、礼節と作法の大切さをひしひしと感じている。
丁寧な言葉づかいや謙虚な振る舞いは自分を鍛え、幅のある人生を送ることができる唯一の武器ではないかと思う。
さりげなく、清々としていて、美しい言葉、思いやりのある振る舞いが自然と出てくるようになりたいものである。きっとそんな場面で普通に振る舞えたら、手にはとれないけど最高の宝物が手に入った瞬間なのだろう。
「七月尽 三方良しの 振舞いで」 清流
品格というものは自分で意識して滲み出せるものではない。さりげない振る舞いの中に自然と現れてくるものだろう。その意味で全人格的な人間性がものをいうと言える。